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昏睡状態から自発開眼したら?

#エッセイ #病気 #危険


私は、難病の他に昏睡状態に陥る病気を持っている。意識レベル300の一番危険な状態になるのを、3回経験して、3回とも自発開眼している。

昏睡状態に陥る時、意識がすーぅとなくなるわけではない、私の場合だが。一気に意識不明になるので、意識が失いそうな兆候は自分にはわからない。

あったとして、私の場合、気持ち悪いとかふわふわする感じだが、その兆候が感じられれば、もうすぐ危険だと判断出来る。

運良く自発開眼したとする。
目の前の景色はやや灰色ががったぼんやりとした景色。
お母さんが泣いている。
耳は聴こえる。
でも、ただ聴こえるだけ。
「生きて、お願い、生きて!!」
聴こえるけど何も思わない。
何の思考も働かない。
目の前で世界で一番大切で、
世界で一番愛するお母さんが、
泣きながら生きて、と叫んでいても
何も感じない。

時間の経過とともに、
私はまず手が動くようになる
話したり、到着した救急隊員の方の指示に従えるようになるのは、まだ時間がかかる

その頃には、必死に私の口を開け、
気道確保に努めたお母さんは倒れてる。
意識がない人を動かしたり、口を開けさせたりするのは、強い力が必要なのだ。

目の前のお母さんの泣き顔も
泣いて懇願する声も全部覚えてる

私が病気になって、一番苦しいのは、
お母さんをめちゃくちゃ泣かせ、
私に生きてと泣きながら懇願する声を出させたことだ。

しかもその時何も感じない私がいる。

親不孝極まりない。

よく亡くなる人が最期まで残るのは聴覚だと言われているけれど、何も感じないけれど確かに届いているんだと思う。
だから看護師さんや先生方が、最期まで声を掛けてあげて、と仰るのだと思う。


あー、もう昏睡状態にはなりたくないよ

お母さんを泣かせたくないよ

いつも笑っていさせてあげたいよ

ねぇ、パパ、ぶぅ、おじーちゃんおばーちゃん、

ママを守ってよ、

お願いだから、

ママを傷付けないで


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