社内討論!品川って「多様性のあるまち」なのか?!【今週の加藤さんvol.10】
こんにちは、花咲爺さんズのシオヤです。
突然ですが、「品川エリア」と聞いてどんなイメージを思い浮かべますか?
私は、この品川エリアの特徴・面白さは「多様性があること」だと信じて疑っていません。これまでこのまちで関わってきた誰もがそう言っていたし、実際にそうだと思っていたから。
が、ある日のこと。「本当にそうかな?そんなことないんじゃない?」と加藤さんが言い出したのです。
なんてこったい!ということで、白黒付けるべくこのテーマで話し合ってみることにしました。ちょっと長くなりますが、お付き合いくださいませ。
そもそも「品川エリア」って何?
まずは前提となる「品川エリア」についてご説明します。
花咲爺さんズが拠点を置き、活動しているのは品川です。
と言っても、品川区ではありません。住所は「港区港南」。一言も品川という文字は入っていません。
なぜ「品川」と言われているのか?ずばり「品川駅」があるから。
品川インターシティ、品川シーズンテラスなど、港南にあるビルの名前の多くは「品川」を冠しています。
そしてこのまち、特にまちづくり・活性化に関わる人々の間では、「品川エリア」というまちの区分が存在します。港区港南から区の境目を越えて、旧東海道を有する北品川の品川宿、アートの島として盛り上がりを見せる東品川の天王洲までを含んだものです。
「品川はオフィスビルばっかり」?
港南、特に品川駅港南口の一般的なイメージは、「オフィス街、ビルばっかり、ワーカーばっかり、乗換駅で遊びに来るところじゃない」というもの。通勤者で溢れるあの景色を思い浮かべる人は少なくないはずです。
いや、もっと色んな顔がある!
しかし、それは品川が持つ一つの顔に過ぎません。このまちをよく見てみると、もっと色んな景色があるのです。
品川駅港南口を出て真っすぐ進んでいくと運河があります。その運河を越えると現れるのがタワーマンション群。ここでは幅広い年齢の方が暮らしています。
2年前の春に行われた港南ふれあい桜まつり。
大きなタワーマンションが映っています
また、もう少し足を延ばせば、おしゃれなジャズが流れ水辺の景色が気持ち良い天王洲や、老舗店から新しく個性的なお店まで揃う品川宿の商店街にも行くことができます。
お正月の北品川商店街
このように、「品川エリア」は色々な顔を持っており、それが他のまちにはない特徴だと思っていたのですが…本当にそうなのか?という疑念が持ち上がってしまったというわけです。
多様性の有無はいかに!?社内で話し合ってみた
そんなわけで、品川エリアで暮らすメンバーが集まり、話し合ってみました。
「品川エリアは多様性のあるまちか?討論会」登場人物
加藤さん→反対
シオヤ→賛成
タバタさん→賛成か反対か迷い中
カワシマさん→賛成
加藤さん:
僕は多様じゃないと思うな。丸の内とか六本木と比べると、お店やまちの中のアクティビティのバリエーションが幅広くないし。
シオヤ:
確かにお店やアクティビティは多くないかもしれませんが、「人」に着目すれば年齢的な幅広さが特徴としてあげられます。働くための企業があるのはもちろん、幼稚園や保育園、小・中学校もあって、老人ホームもあります。そんな色んな年代に合わせた施設があるいう意味で、人の多様性があるまちと言えるんじゃないでしょうか?
加藤さん:
例えば六本木には外国人が多いイメージがあるよね。まちにいる人の「多国籍さ」みたいなところで見たとき、品川にはそんなにないんじゃないかな。
それに、六本木の場合だってミッドタウンや六本木ヒルズの横にもレジデンスがある。規模は品川と違うけど小学校もあるし、品川に突出した多様性があるとは言えないと思うんだよね。
タバタさん:
でも、品川のエリア内だと徒歩10分くらいの距離でも場所によって雰囲気が全然変わるのを感じるかな。北品川なら古い町並みを腰の曲がったおばあちゃんが歩いていたりするけど、港南に来ると若いファミリーが多くなる。でもそれは住んでいるから感じるだけなのかも…。
加藤さん:
そう、多分バイアスがかかってるんだよ。
よくある話だけど、「私の回りには変わった人が多いんだよね」っていう人って、その人たちのことを深いところまでよく知っているから「変わっている部分」が見えているだけで、表面的な話しかしない人から見れば全然そんなことはなかったりする。
シオヤ:
いや!見えるかどうかではなく「あるかどうか」の議論なので「住んでるから見えるだけ」っていうのはあることは認めるっていうことですよね…!?なんて。
あと、「品川エリア」で切り取ると、まちの歴史の多様さもあると思います。品川宿は江戸時代からある宿場町ですが、今では商店街になって普通の日常を送る場所になっています。港南は、もとは海を埋め立てた場所で何もない東京の僻地みたいなところだったのが開発されて一大ビジネス街になった場所です。天王洲も倉庫群からおしゃれなアートの島になったり。一つのエリアの中に全く違う歴史を有している場所があるところも特徴だし、多様さです。
カワシマさん:
「多様な環境」って、色んな属性のものが混じっている場所のことですよね。色んな人がいるっていうのと、企業の多さ、その中に所属する人の職種や国籍、企業規模の多様さもあると思います。
加藤さん:
だとすると、品川エリアは画一的過ぎるんじゃないかな。港南だと「オフィス街」と「タワーマンション群」という画一的な場所があって、構成する人も画一的だし。
シオヤ:
…まあ、そうなんですよね。そもそもこの「品川エリア」のくくり方って、多様であるように見せるために編集した結果でしかないんです。実際のところ、まだこの「品川エリア」っていうくくり方は浸透している訳ではないでしょうし。
ということで、「品川は多様だ」と主張してた私も、実はそうじゃないんじゃないかって思いはじめてるんです……。
って、あれ?やっぱり「多様性があるまち」じゃなかったの??
ここで討論は終了です。
じゃあ、多様性があるまちってなんだろう?
タバタさん:
一般的に多様性があるって言われているまちってなんだろう?
シオヤ:
そうですね…川崎市とかでしょうか?ビジョンとして多様性を大事にしようというのを掲げてますよね。
タバタさん:
あ、渋谷もそうだよね。
シオヤ:
本当は渋谷みたいなまちを「多様性がある」って言うんでしょうね。色んな人がスクランブルしていく感じとか、色んなお店も企業もある雑然さみたいなものが、代表的な「多様性のある街」です。
加藤さん:
都市論の文脈だと、どうしても多様性を評価するのがハードの部分に偏るんだよね。ニュータウンみたいな住まうことに特化された街や、オフィスばかりのビル街みたいな、あまりにも区画整理がきっちりとされすぎている街は多様性がないと言われる。逆に路地裏みたいな雑然とした場所は多様性がある、っていう評価になるかな。
参考:『魅力ある都市の条件 多様性と 雑味は どこから生まれるのか』
シオヤ:
やっぱり、そうですよね。
私も「品川と言えばビジネス街」という前提があるから多様性を感じるだけで、まちの中に働くところも暮らすところもあるっていうこと自体は特別じゃないよな、と思い直しました。
加藤さん:
でも実は、僕も事前にちょっと考えてた時に、品川も多様って言えるし、そっち派だな、って思ったんだよね。港南と北品川と天王洲の雰囲気の違いだったり、働く場所、暮らす場所での時間の流れの違いだったりは本当にあるものだし、そういうものをうまく表現できれば多様性のある街って言えるようになるのかな。
タバタさん:
じゃあもう、すべてのまちに多様性があって、そう感じられるほどまちを知るかどうか次第ってことなんじゃない?
シオヤ:
ですね!
「今週の加藤さん」
「今週の加藤さん」は“最近何か気になってる話題とかありますか?”というとてつもなくラフなお題を、花咲爺さんズ代表の加藤さんに聞いてみるコーナー。聞き手は弊社シオヤ。
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