とりとめもない話

ずっと、世界は私を拒んでいるのだと
思っていたけれど
拒絶 していたのは私の方だった。
グラスが落ちて割 れるように、
高い塔から足を 踏 み外 し 
この世の底で ばら
ばらに砕ける自分
を想像しては、安心していた。

うまくできないの ごめんなさい 
やく た たず
いつになったら朝は
来なくなるのだろうと 祈っても
訪れてしまう。


年を重ねるにつれて、できることも少し
ずつ増えてきた。

その分私もまだ ここにいて
いいのかもしれないと
ここにいたいなと思うようになった。
それからは世界を拒むことも少なくなった。


自分のことを好きかと問われると
答えに窮する。
好きでもないし、嫌いでもない。

いまの自分を肯定してしまうと
あの子を否定することになるんじゃないかと。

でも、できない自分を含めていまの
自分を否定することが少なくなってから、
私の視界はこんなに鮮やかだったのだと
気づいた。

他国の悲しい知らせも
自国の腹立たしくなる上の行いも
日々絶え間ないけれど
それに抗う人たち
世界をより良くしようとしている人たちもいるのだと
そこに目を向けて前向きに物事を捉えれば
自然と素敵な人や素敵なものに巡り会う機会も増えていったんだ。

日陰だけに目を向けていたあの子も
日向のあたたかさも知った私も
どちらも否定されない方法を見つけたいなと
それがいまの私のささやかな夢。

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