百体観音①

百体観音の歴史

建立まで

　長野・群馬県道94号線の新張（みはり）信号機から、嬬恋村の鹿沢温泉『紅葉館』までの道中、100体の観音像あります。
　江戸時代に盛んになった観音信仰により、この地でも1864（元治元）年に長野県東御市から群馬県嬬恋村の鹿沢温泉までの『湯道』の安全を祈願して、1町（約109ｍ）ごとの観音像建立が始まります。
　この建立には東御市や嬬恋村だけでなく、近隣の小県郡や佐久郡、だけでに留まらず、長野市や伊那市、そして群馬県の各所からの協力により建立されました。
　鹿沢温泉に置かれた百番観音に至っては鹿沢温泉の温泉客500人の寄付により完成しました。
　1874（明治7）年5月7日に百番観音開眼祝いが行われ、完成しました。

戦後

　『湯道』は車が通れないため、県道94号線が作られます。
　1959（昭和34）年には地蔵峠（県境）までが開通。1962（昭和37）年には鹿沢温泉までの車道が完成しました。
　完成時には観音像はまだ湯道にありました。そこから、2年の歳月をかけて、湯道から県道への移転作業が当時の若者たちにより行われました。
　県道が開通し、車で湯ノ丸や鹿沢温泉に行くのが便利になりましたが、その弊害で観音像の紛失・盗難が相次いでしまいます。
　そこで、1981（昭和56）年に新たな寄進者を募り、観音像を復元。入魂式も行われました。
　1985（昭和60）年からは、毎年5月に、百体観音めぐり歩こう会が開催されました。

六観音について

　百体観音は真言系の六観音が祭られています。
　六観音とは観音菩薩の６つの変化した姿です。
　つまり、聖観音（しょうかんのん）・千手観音・十一面観音・如意輪観音・准胝観音（じゅんでいかんのん）・馬頭観音の六種です。
　天台系だと、准胝観音のかわりに不空羂索観音（ふくうけんさくかんのん）になります。また、全て合わせて七観音とも言います。　
　これは、一番観音から2キロメートル西の祢津東町にある真言宗長命寺境内にある観音堂に由来するからです。

　百体の観音像を巡ることで、西国三十三所・坂東三十三所・秩父三十四所の札所を巡ったのと同じ功徳があると言われています。