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鋼の声帯!!!!

歌劇場のお仕事も
もう結構長くなり、

レパートリー数も一体
何曲ぐらいになったのかしら?
夏休みのリラックスした脳みそに問うて見たら
そうねえ~
80曲ぐらいかしら??
結構増えてきました。
もちろんこれはここ歌劇場でのレパートリー。
私はここに来る前は
主に教会音楽や古典、現代曲を
専門にしていたので
割と色々と歌ってきました。

毎日歌うというのはどういうことか?
声楽科の学生だった頃は
一日3-4時間は歌わないとね!
などという事をよく聞きました。
オペラは一曲が3時間ほどかかります。
この長さは歌え通さないとやっていけないかしら?
などと考えたものです。

「本当に 皆んなそんなに長く
練習しているのかしら??」

元々
私の声はあまり強くなく
長時間ガンガンに練習しまくった日には
もうハスキーヴォイスしか出ませんでした。

オペラのアリア一つとっても
身体の使い方、呼吸、声、表現など
とても色々な課題があります。
これらをバランスよく組み合わせて声を出すのは
細かい職人技を磨くような時間のかかる作業です。

私の場合は
そんな事を
短時間で休みながら、
試みる
という方法をとっていました。
なので3時間も練習はした事はありませんでした

さて、そんな私が
歌劇場合唱団のサバイバルオーディションで生き残り
ニュービーとしてお仕事を始めた、
まだ駆け出しの頃のお話です。

ここでお仕事を始めた当初は
もう考える暇もなく次から次へと
曲をこなさなくてはならなかったので
声と身体は常に疲労困憊状態でした。
学生の頃やソロを歌っていた頃は
自分のペースで演奏会に合わせて
コンディションを作り上げる事ができました。
が、
歌劇場合唱団のニュービー
誰も待っていてくれません

朝イチの合同練習が始まる前に
合唱団ディレクターとコレペティと
ニュービーの為の
レパートリー準備。
譜読みと暗譜の練習があります。

それが1時間程続き
ニュービーの
集中力が尽きてきた頃
先輩達が合唱ホールに入室し、
合同練習開始!
これも
1時間半あまり
休みなく歌い続けます。

合同練習が始まってすぐに
ニュービーは
声の疲れを感じています
総勢60人以上の大音量の大合唱

練習後の
4時間の休憩時間は
体力作りのためジムに通おうと
メンバー登録をしたものの
払い捨て

こんな事してエネルギーを消費しては
夜公演で生き延びることは出来ない!!
と、直ぐに悟りの域に入り、

休憩時間は声と体を休めるために
必要なこと
昼寝!!
を時間割に組み込みました!

そして夜公演の為劇場入りする1時間半前、
2回目のニュービー練習時間がやってきました!

声はすでにエネルギーチャージ
されているでしょうか?!

いや、やっぱりまだ疲れが残っている😓

しかしこの曲も公演が迫っている!
今しか練習時間が無いのだ!!
やるしか無い!!

「すみませーん、
オクターブ低く歌っても良いでしょうか?」

と、声帯をフルに使うような箇所は
オクターブ低く歌わせてもらい
発声器官の筋肉に疲労が起きないように
注意深くエネルギー配分をしながらの
練習です。


というのも、練習後に公演があるので、本番に
しっかりと声を取っておかなければなりません
歌いたくてもここは我慢。
60%くらいの本気度で練習をクリアします。
そして夜公演は
もちろん今練習した曲ではありません。
ジャンルも様式も全く違うものだったりします。

ここでは頭もサッと切り替える必要があります。

公演開始30分前、急いで楽屋入りし、
メイク衣装を装着完了です!!
ふうううー
と深呼吸を何度もしながら
練習で乳酸菌の溜まった筋肉の疲れを吐き出します
まるで運動選手です!!


私が入団したての頃は
シーズンプログラムに選ばれた作品は
大曲が多かったので
毎日の舞台は衣装やメイク、演出も含め
非常に過酷で
そこに毎日の練習時間を入れると
ろくに声を休めることもできませんでした

頭も次から次へと暗譜を強いられ
覚える許容量というものが脳みそに
あるのだということも
この時期に経験しました!!

また声帯の
繊細な粘膜は過度の刺激で弱り、
炎症を起こしやすく、
風邪を引く頻度も格段に多くなっていました。

こんなニュービーを横目に

先輩達は

隣でガンガンに歌っています。
そして夜も
更にガンガンです!!
一体どんな生体いや、声帯なんだろう?!
ニュービー練習は無いとはいえ

朝から
え?こんなに出す?
というくらいの声量で練習をこなし、
休み時間は家で家事、子育て、
プラス友人との楽しいひと時で声もつかいまくり。
そして夜公演では
舞台ガンガンで
舞台裏でもガンガンに井戸端会議😱
何部屋も離れたところから
ギャーギャーガハハハと
日頃から訓練された声量で
半端ないサウンドがあふれてきます

本当に同じ人間なのか?!

きっとDNAが私とは違うんだ
絶対そうに違いない!!
と真面目に考えていました。

そんな怒涛のニュービー期間が過ぎ

勤務年数も着々と増え

気がついたら

先輩同様の

その違う生体に
進化していました😎



毎日疲れた声帯を引きずって
睡眠不足や
不規則な生活で起こる
逆流性食道炎(すっごく多い!)
日々の身体のコンディション
と睨めっこしながら

歌手専門の耳鼻科の先生にお世話になり
きっと仲間たちもやっている
苦しい試行錯誤をしながらも
毎日歌い続けた
昔が
夢のよう


今では
体との会話も密に行えるようになり
自分にとっての境界線もしっかり把握して,
色々な状態を考慮し、
声がベストの状態を保てる技を身につけられました!

流石に仕事がハードになってくると
声のことを気遣い
仲間との井戸端会議は退散することもありますが、
少々の楽しみを嗜む余裕も生まれました💓

そして
「花残月さーん、
なんか声が疲れちゃうんですけど
そんな時どうしてます〜?
どうして風邪引かないんですか〜??」
と大事なニュービーさん達に
相談される事も多くなってきた
今日この頃です〜

ホント、皆んな通ってる道なんだなあ〜


今はとっても頼りになる
最高の同志になった私の声帯を連れて
今日も歌劇場合唱団員

フル稼働です!!

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