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主役・準主役、そして3番手の役割<小説・脚本書き方プロット講座⑥>

福岡で「作家塾」という小さな小説・脚本講座を14年以上、運営していく中で「プロット」を重視したおかげで多くの実績が出ましたというお話の第6回目。

今回は、物語における「主役」「準主役」「3番手(凖々主役)」、それぞれの役割を解説します。プロットと少し関係ない話になりますが、物語を書くのにお役に立つかと思います。

・主役
物語は基本的に主役視点で描かれます。

物語の起承転結とは、結局のところ主役の心の動きを表しています。つまり、物語中の主役の一喜一憂・葛藤の変化が、即ち物語なのです。

物語中の様々な出来事は、主役の心境の変化の為にあります。

ですので、物語中、どんなに大きな出来事があったとしても、主役の心が全く動いていなかったら、意味の無い出来事になります。
逆に、些細な出来事でも、主役の心を大きく動かすものであれば、重要な出来事になります。

主役は、読者に最も感情移入してもらうべき存在です。読者が主役と一体化し、主役が体験する事を自分自身の事と感じられるような物語が最も望ましいです。

ちなみに、稀ですが、主役しか出てこない物語もあります。(例えば“孤独のグルメ”)

主役なしでは、物語が成立せず、主役が居れば物語は書けると言えますので、まずは主役をきちんと書きましょう。

・準主役
多くの場合、主役の反対行動者が準主役になります。主役に挑戦し、主役の心を動かす為の存在です。

例えば少年漫画では、主人公のライバルが準主役になっている事が多いです。

また、恋愛ものだったら、主人公の恋する相手が準主役になる事が多いです。この場合、準主役は、主人公と恋の駆け引きをする対立行動者と言う事になります。

もちろん、例外もあって、主役を支える役割の凖主役も居ます。こういう場合は、主役の葛藤は、準主役よりも、物語中に起こる出来事から発生する事が多いです。パニック映画等に、こういうパターンが見られます。

また、主人公が、特別な精神状態の人物(要するに変人)の場合、変わった主人公を読者と共に観察する役割として、凖主役が存在します。

例えば、ギャグ漫画などで、主人公が変人(ボケ担当)で、準主役が普通の人(ツッコミ担当)という場合が、これにあたります。

・3番手(凖々主役)
3番手は、主役、準主役を補佐する役割として登場します。

例えば、恋愛ものなどで、主人公(恋する側)、準主役(恋される側)という設定の場合、主人公の恋を助ける友人、もしくは、恋のライバルが3番手になる事が多いです。

ただ、3番手以下は、物語上、必ずしも要るキャラではありません。主人公と準主役のみで展開する物語もあります。

主要な登場人物が最小限だと、物語に緊張感が生まれ、読者に深い印象を与える効果があります。

ただ、それで長編を書くのは難しいかと思います。特に初心者には難しいでしょう。

それに、主要な登場人物が少ないと、読者が疲れたり、飽きやすくなる欠点もあります。

主人公と準主役のみにする方法は、短編向きかと思います。

以上の事を踏まえると、3番手の役割とは、主人公と準主役だけでは、行き詰まりそうな物語を動かす補助としての役割と捉えても良いでしょう。また、長編を書きやすくし、読者を飽きさせない為の存在とも言えます。

以上、主役・凖主役・3番手(凖々主役)の役割を説明してきました。

尚、作家初心者の方は、まずは「主役」「凖主役」のみが出てくる短編を書く所からスタートすると良いかと思います。

(花野組福岡「作家塾」)

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