あの人はどうしてるかな

と、思うことがある。
昔好きだったおじさんたちのことだ。
こんな不安定な世の中になったので思い出す機会が増えた。
元気でいるのかな、今もお仕事してるのかな、などと考える。


大抵は暇な時などにボヤーっと思い出しているだけなのだが、たまに自分の気分が明るく前向きな時と重なったりすると、
「ちょっとメールでもしてみよっかな」
などと迂闊なことを考える。


メールまでしようかなどと考えるおじさんは一人だけで、むしろ当時は喧嘩ばっかりしてた人、Ｍさんだ。
他のおじさん達に対しては、私とのことは（もし覚えててくれているなら）やわらかな思い出のままであってほしいので、いくら懐かしく思っても私から連絡しようとは思わないでいられる。


でも、Ｍさんと私は当時ずっとごたごたごたごたしていたし頭にくることばっかりだったから、別に今更どう思われてもいい気がしてしまうのだ。


不思議なもので、相手を人間的に嫌いだった訳じゃなければ、いくら喧嘩した記憶ばっかりでも時が経つと懐かしく思い出せてしまう。
Ｍさんは20歳年上だったが、落ち着いたおじさまとかじゃ全然なかった。
でも本当に大好きだった。
彼の言うことで私はよく笑ったし、会話も喧嘩も同級生同士みたいな感じだった。
（彼の名誉のために言っておくと、仕事ぶりはとても尊敬できるものだった）


それ以降の自分の恋愛から振り返ると、あの頃の私ってなんて馬鹿で若かったのだろうと思う。我ながらウケる。
こんなに何度も彼のことを書くこと自体もウケるのだが、自分の過去であそこだけ浮いているのでよく思い出しがちなのだ。



＊＊＊　思い出に残るＭさんとの売り言葉に買い言葉　＊＊＊

【 その１ 】
・深い仲になってから２週間ぐらい
・主にメールと電話ばっかりな状態
・「デートがしたい」「忙しい」の押し問答になった後の会話

「お前どうせ他に男いっぱいいるんだろ？」
「Ｍさん私のこと何も知らないくせによくそんなこと言うのね」
「だって津田のこと知るほど会ってないじゃん」
「だから会いたいって言ってるんじゃん。もうさ、ひょっとするとＭさん、私の下の名前も知らないんじゃない？」
「‥‥‥‥‥‥」
エッ！！！！！！
本当に知らないの？？？！！！！

実は知っているというのは直後に分かったが、即答しなかったのは私を下手に喜ばせると調子に乗ると思ったから、という理由だったのでそこから喧嘩。


【 その２ 】
・私は彼が好きなのに素直になれず口ごたえ → 彼は生意気な私に腹を立てて憎まれ口 → 喧嘩 → 連絡断絶 → 電話が来て仲直りの繰り返し状態
・合間合間にセックス
・そんな延々と続く彼との間柄の、最後から2番目の電話での会話

どうかこうか彼への想いを断ち切って数ヶ月、やっと気持ちが落ち着き始めた頃、再び彼から電話が来た。
さんざん無視しておいて今頃電話をして来るとは‥‥！
もう着信画面に彼の名前を見ただけで腹が立ちながらも電話に出た。（弱い）
「‥‥なに？」
「いや別に。何の用でもないけど」
「もうさ、プロポーズする以外の電話は掛けてこないで」
というと彼は思わず笑って、
「はいはい、わかったよ。じゃあな」
プツっ！（お互い同時に通話終了ボタンを押す音）


【 その３ 】
・えっ！まだ続くの？！
・安心してほしい。これが彼との最後の電話です。


その２の電話から、もはや２年ぐらい経った頃だ。
私は前回の電話のあと、二度と心が乱れないように彼からの電話を着信拒否に設定していた。
その電話が掛かってきたのは、なんというタイミングだろう、私が新しくお付き合いし始めたおじさまとベッドで幸せにお昼寝している時だった。
見ず知らずの携帯番号から着信があり、ひょっとしたら宅急便のドライバーさんかもしれないと思ったので電話に出てみた。
「もしもし？」
「もしもーし。津田さんですか」
「あらっ！？」
私は一瞬で彼だとわかりギョッとして思わず声をあげてしまった。
しかし、もう昔と違って慌てず騒がず、
「いいえ、違います」
と言うと、電話の向こうで彼が思わず吹き出すのが聞こえた後、
「そうですか。どうも失礼しました」
と言って電話が切れた。
その後一瞬だけ私は（あれ？まさかとは思うけどもしかしてひょっとしてプロポーズだった？）と思ったが、天地がひっくり返ってもそれだけは無いという冷静な判断ができ、気持ちも落ち着いた。


思い出は以上である。


‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。
‥‥‥‥‥‥‥‥。
やっぱりメールするのやめた！！！
（当時振り回されすぎていたことをリアルに思い出した自分）


大体、あれから更に相当の年月が経っているのだから、もし私がメールしたところで、
「お〜花野か！懐かしいけどあいつも結構年取ってんだろうな。別に会いたくねーな。返信するのやめよう」
とか思われるに決まってる。（ムカー）
絶っっっ対メールしない！！！


いや〜ちゃんと振り返ってみるものだな。
あやうく楽しかったことだけ懐かしく思い出してメールしちゃうとこだった。
ウッカリまた連絡しそうになったら、このnoteを読み返そう、私。


元気にしてるならそれでいいよ、Ｍさん。









↓　Ｍさんとの思い出