初めての時のこと
私が初めてセックスをしたのは大学時代だった。
今は2、30歳離れたおじさんじゃないと好きになれないが、その時の彼は8歳年上の人だった。
ドイツで4年、イタリアに2年住んだ後に日本に帰ってきたばかりの人で、性格も良く外見も良かった。
困っている人を見ると助けてあげるタイプだったし、友達に会わせると「カッコいいね」と言われるタイプだった。
私を好いてくれているのがよくわかったし、私も彼のことがとても好きだった。
セックスだけが二人の間の問題だった。
性の不一致ってこういう事かと思った。
後々知ったことだったのだが、彼は手当たり次第にセックスしたいタイプだった。
付き合う子は一人だけでいいけど、セックスは相手の女の子さえOKならいつでも誰とでもしながら生きてきたそうだ。実は私と付き合っている間も、私の友人ともしていたと告白された。しかも2人も。(あまり親しくはない友人だったけど)
一方の私は、セックスが大嫌いだったのだ。
今からは考えられないが。
私は、彼と付き合うまでセックスの経験がゼロだったので、当然のことながら初めての時、
「痛すぎてもう無理〜〜〜!!ほんとにできる気がしない‥‥!!もうダメ怖い!!」
という日々が1ヶ月ぐらい続いた。
もう入り口だけで激痛なので全然入らないのだ。
でも、彼もこんなに辛抱強く何度もトライしてくれてるんだから私もがんばらないと‥‥と思った。
実際彼は、毎回痛がる私を面倒くさがって強引に押し切ることもなく、ギブアップを申し出る度にやめてくれていた。
ちなみに、私はそれまで性の知識がほとんど無かった。
女友達の間では「もう彼とセックスした」「まだしてない」という事ぐらいは会話にのぼるが、内容を詳しく聞いたことは無かった。
今はこんなにエロ方面のことをnoteにいっぱい書いているが、当時はセックスがどういうものかよくわかっていなかった。
だから最初に全部入った時は、超痛い!!激痛‥‥!!とあぶら汗を流しながらも、やっと入った安心感でホッとした。
無知な私は、てっきり入りさえすれば終わりなのかと思っていたのだ。
ところが抜かれる気配が一向に無い。
「Jくん、痛い!早く抜いて」
「いや花野、ここからなんだけど」
「‥‥エッ!!??」
そこから出し入れが必要だということを私は知らなかったのだ。
実をいえば、挿入するということすら最初は知らなかった。
なんならセックスって裸で抱き合うことなのかと思っていたぐらいだった。(マジです。)
私がAVなどを見ていれば知れたのかもしれないが、逆にAV見てなきゃ知れないのかい!と思った。
日本の性教育大丈夫?!
と私が思い始めた所以である。
今はどうなのか知らないが、私の時は生理についての特別授業が一回あったっきりだった。(しかも女子だけ対象)
それも「赤ちゃんを迎える準備」みたいなふわっふわの内容だった。
セックスのセの字も出て来なかった。
あれかな?男子の方では教えてたのかな?
「セックス時における相手の合意と避妊の重要性、及びその具体的な方法」とかなんとか‥‥。
ともかく、私は完全に丸腰だった。
こんなことするのもこんな痛いのも聞いてなかった〜〜〜!!
もう半べそである。
そこからまた日を置いてはトライが続き、ようやく出し入れもできるようになり、どうかこうか形になってきた。
痛みも無くなった。
こなれてきた。
私は大人の階段を上がった感を味わった。
フゥ‥‥やれやれ。
‥‥‥‥‥‥‥‥。
‥‥‥‥‥。
‥‥っていうか待って!!
「やれやれ」じゃないっつーの!!
私ぜんぜん気持ちよくないんですけど‥‥??
いつまで経っても、いくら回数を重ねてもぜんぜん気持ちよくならないのだ。
愛撫も挿入も。
その内フェラチオの仕方なども教えられ、「いいよ花野、うまくなってきた」などと褒めてくれるのはありがたいが、そもそも、あの、私の方は全然濡れてないんですけど‥‥。
そこについては‥‥?
みんなもこんな感じなの?
これがセックスというものなのか。
ウーーーム‥‥。
私はセックスについては無知だったが、エロいものを見たらちゃんとエロい気持ちになるし、一人でするのは普通に好きだった。
しかもちゃんとイッてた。
これなら、セックスするより一人でする方がよっぽど気持ちよくない??
私‥‥セックス嫌いかも。
一生しなくていいかも。
と思った。
その内に私は、彼のことは大好きだがセックスは拒むようになってしまった。
しかし、彼は前述のとおりセックスが大好きなわけなのだ。毎日したいわけなのだ。
そんな状態の二人がうまくいくはずもなかったのだが、彼の愛はよくわかっていたし、ご家族にも友達にもどんどん私を紹介してくれて、みんなに「お似合いだね」なんて言われて、実際セックス以外は相性ピッタリなので普段はとても仲良くやっていた。
セックスの時に無理なことや変わったことを強要されたりしたわけでは全然ない。
むしろ逆だ。
なんというか、彼のセックスはとてもシンプルだった。
素敵な洋画で出てくるようなさわやかなセックスシーンみたいな。
彼がしたいことだけを毎回同じようにして終わる、‥‥と言うと言い過ぎかもしれないけど。
彼は、女の子の「器」や好きな体位などについては自分の好みを何かと語っていた。
そんなにセックスが好きなら、もうちょっと、どうしたら私が濡れるかとかイクかとか研究してくれてもよかったのでは‥‥と思わないでもないが、彼も年上とはいえまだ若かったし、色々仕方ないところもあったと思う。
どちらかが悪いとかじゃなくて、お互い知らないことが多すぎたのだ。
彼は自分はセックス依存症じゃないかと言っていたが、20代でその性欲なら全然普通だと思う。
私がセックスを拒んでいたんだし、他の女の人とたくさんしちゃってたのも仕方ないとも思う。
まあ、私の友人とまでしていたのはどうかとは思うけども。私ピエールじゃん!(注:私の仲間内スラングでピエロの意)
セックスを拒み続ける私に、彼が聞いたことがあった。
「ねえ、一生しない気なの?」
「別にそういうわけじゃないけど‥‥」
と答えつつも、心の中では(うん‥できれば一生したくない‥‥)と思ってしまっていた。
数年たって、とうとう彼とはお別れした。
直接の原因はまた別にあったのだが、こんな調子では、遅かれ早かれ別れは避けられなかった気がする。
重ねて言うが、他の部分はとても好きだった。
面倒見が良く、繊細だけどバイタリティがあって、話題も豊富で、国内外の色んなところに連れて行ってくれて楽しませてくれた。
いい人だった。
たまたま私とは性が不一致だっただけなのだ。
彼がその後セックスの相性がいい子と付き合って、幸せな人生を送れてたらいいなと心から思っている。
以上、個人的な話だし個人差も大きいとは思うが、こういうパターンもあるのだと誰かの参考になったらいいなと思い書いてみました。
ー おまけ ー
もし私があのまま行っていたら、今こんなnoteはやっていなかったと思う。
なぜ変われたか?
次に付き合った人とのセックスがびっくりするぐらい気持ち良かったのだ。
どうすれば私が感じるのか、よく観察して研究して実行してくれる人だった。
言葉責めなどの雰囲気作りもとても上手く、そうか、私にとっては指や舌だけじゃなくて言葉も大切なのだなと知った。
ものすごく濡れた。
そしてセックスで初めてイッた。
なにこれ最高‥‥!と思うようになったのだ。(急転換)
以来、幸せなことに付き合うおじさまはみんなそういうタイプだ。
年の功もあるかもしれないが、きっと性格なんだと思う。
相手が感じれば感じるほど自分の気分も上がるので、相手を重視するというか。
相手のポイントを研究し尽くして開拓しまくるタイプというか。
私の気持ちも身体も上げようとしてくれるタイプだ。
そういう人とセックスすると、私も相手を喜ばせてあげたい気持ちが募って、いろんなことができるようになる。
私の反応によって彼の息遣いが一段高くなったりすると、「あ、彼が上がってくれてる」と思って私の気持ちも更に上がり、そうすると彼の興奮もいっそう昂まって‥‥もう二人でどこまでも上がっていけそうな感じ。
そういうセックスができるようになって本当によかった。
あのままセックスが嫌いにならないでよかった。
今や、おかげさまでいろんなイキ方のことまで書けるようになりました。
(極端が過ぎやしないか)