あなたの過去など知りたくないの
愛する人の過去の恋人について知りたいかどうか。
友達ともよく話題になるが、知りたい派と知りたくない派って結構きっちり別れるのではないかと思う。
私はといえば、もう‥‥完全に知りたくない派だ。
この投稿の題名は、もちろん往年のヒット曲「知りたくないの」(訳詩:なかにし礼)から頂いたものだ。(アメリカの原曲から引用すべきなのかもしれないが、日本の曲の方が馴染みだし、こんなに上手な訳詩ってあるかしらと思うので)
この詩のどこに共感するといって、自分の愛する相手に対して、過去の恋人の話は
「たとえこの私が聞いても言わないで」
というところだ。
私がいくら聞きたくない派だとはいえ、つい話の行きがかり上、彼の恋人がどんな人だったのか聞きたくなってしまうことはある。
特に、私と出会った後でも過去の女の人への想いを感じてしまう瞬間とかに。
でも、聞いたら聞いたで絶対泣きたくなるに決まっているのだ。
毎回毎回、本当に聞かなきゃよかったと後悔する。
だって、好きなおじさまの過去の恋人って、全員が自分より素敵な人のように思ってしまうのだ。
全員に叶わない気がしてしまう。
「何を考えてるかわからないような女だったね」
「まあ迫力のある人でしたよ」
「なんかベッドの上でひらひら踊ったりしてたな」
上の3つは、昔、全部別のおじさんから聞いた過去の恋人の話だ。
(聞きたくないわりに結構聞いちゃってるな‥‥)
もう全然私と違うタイプじゃないか‥‥と思って泣きたくなる。
その場では「へぇ〜素敵な感じの人ですね」などと、にっこり笑顔で言ってしまうが、その後思い出す度に不安になって悲しくなる。
(そういう女の人が好きだったなら私のどこがいいんだろ)
(いや、別にいいとも思ってないんだろうな)
(どうせ一時の仲だと思ってるんだろうな)
お得意の真っ暗思考が炸裂してしまう。
だから、私が聞いてもいない先から教えてくれるのはもちろんやめてほしいが、たとえ私がうっかり聞いてしまったとしても絶対答えないでほしい。
「馬鹿だな、そんなこと聞いたって仕方ないでしょう。あなた以上の人なんていないよ」
とかなんとか言って、スッと流してほしい。
‥‥‥‥‥‥。
今、なんとなくの流れで言ってほしい台詞を書いたが、最高のが出てしまった。
こんなこと言ってくれたらもうその場で死んじゃってもいいな。
首に抱きついてキスしちゃうな。
嘘でもいいからその場ではそう言ってほしい。
でも、いつも私の好きになるおじさんは永遠にそんなことを言ってくれるような人じゃないのだ。
それで私は永遠に自信を失ったまま、見も知らぬ過去の女の人を想像しては彼我を比較し、勝手に苦しみ続けてしまうのだ。