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我が家にペットがいない期間に行った、家族旅行
我が家では、犬のいない期間が2ヶ月半あった。
それは以前に私のnote記事にも登場した、ミニチュアダックスフンドのはなが亡くなり、トイプードルの三郎を迎えるまでの間のこと。
はなを家族に迎え入れてから17年、私たちの生活に、はながいることは当たり前になっていた。なのに突然はなが旅立ってしまい、自分たちの不注意さに反省したり、階段を転げ落ちてしまったときのはなを想像して心苦しくなったり、はながいなくなった寂しさをどう受け止めていけば良いのかと考えたりしながら過ごす日々だった。
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あの頃はお盆を迎える2週間ほど前の時期だった。夫は毎年2日間のお盆休みがある。我が家は本家であり、お盆に大勢の親戚が集まる日は、大抵夫のお盆休みと重なっていたが、その年は親戚の都合により重ならなかった。
そのことに気付き、ふと思いついたことがあった。夫のお盆休みの2日間は家族みんなの予定が空いている。はなも今はいない。ということは、家を空けることができる。
はなが亡くなってから間もないため不謹慎かとも思ったけれど、家族で話し合い皆が賛成し、家族4人での初めての旅行計画を立てた。お盆近くで、旅館に空室があるか心配もしていたが、希望の旅館で予約を取ることができた。新潟県の月岡温泉に行き先を決めた。
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旅行当日。移動手段は夫の車。後部座席より助手席の方が景観がよいと思い、義母に助手席に座るよう勧めたが、
「いいの、いいの、私は後部座席でいいの。」
と言って遠慮していた。運転席に夫、助手席に私、後部座席に義母と娘が座り出発した。
新潟県に向かう車の中で後ろを振り向くと、義母は、何をしゃべろうかな、邪魔になっていないかな、とはじめは少し緊張していた様子もあったが、運転席のシートにつかまりながら、前のめりになって話してくる義母はとても嬉しそうだった。
車内では、今は亡き義祖父や義父やはなのことを話したり、景色の変化を楽しみながら過ごした。そして初めての4人旅に家族皆が期待をしていた。
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旅館に到着し客室に入り一息ついたところで、私はバッグからはなの写真が入った写真立てを取り出した。すると隣にいた義母がバッグの中に手を入れ、ニコニコしながら義父の写真が入った写真立てを取り出した。同じことを考えていると思ったら笑えてきた。
旅館の庭園を散策したり、部屋の窓から田園風景を眺めたり、館内の調度品を見たりしながら、とてもゆっくりとした時が流れた。
夕食は新潟県で採れる食材を活かした和風懐石料理を、プライベートな空間で気楽に楽しむことができたし、温泉では自然の音や香りを味わいながら身体を癒すことができた。
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私の嫁ぎ先は本家であり、盆正月は親戚を迎え入れる家であること、夫の仕事もまとまった休みがなかなか取れないこと、そしてペットを飼っていたことなどの理由から、家族皆が揃っての旅行はできなかったけれど、あの夏は、ポカンと空いた2日間に旅行へ行くことができた。
あの旅は夫、義母、娘、私の4人で行ったけれど、亡き家族も一緒にいたような気がした。深く思い出に残る旅行だった。