枕草子の一文から教わった嫁と姑の関係
先日娘が、古文単語に載っている、ある言葉を教えてくれた。
ときどき私が義母との関係に心を揉んでいる姿を見て、娘は教えてくれたのだろう。
でもその時に娘が言った言葉はこうだった。
「枕草子って平安時代の物語でしょ。千年以上前から嫁姑問題ってあるんだね。長い時間が経っても人が言うことは変わらないね。」
軽い感じで伝えてくれる娘の話を聞いて、私もなんだか笑えてきた。
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結婚したと同時に、私はこの家の嫁になった。自分でも気付かないうちに理想のお嫁さん像を思い浮かべていたし、義母が「家のお嫁さんは良いお嫁さんだ」と外で言うたびに、常にそうあるべきだとも思っていた。しかしときには私が思い浮かべるお嫁さんになれず、義母に反発心でいっぱいになることもあった。
反対に、義母に対しても私は「お姑さんならこうして欲しい」みたいな思いが自然に湧いていた。それが自分の苛立ちの元になることも。
でもこれって、良くも悪くも自分が勝手に思い描いていた嫁の姿、姑の姿だったと思う。これからも一緒に暮らしていくのなら、心穏やかに暮らしていきたい。そうするにはどうしたら良いんだろうと考え、私が出した結論は、今までの慣習で出来上がった嫁像、姑像を当てはめないことだ。
私もひとりの女性として、義母もひとりの女性として、お互いそれぞれさまざまな経験をし、感じ、考え、行動してきたのだから、感じ方や考え方の違いはある。お互いが思い通りになることの方が少ないのかもしれない。
今でもときどき腑に落ちない出来事が起こることはあるけれど、私と義母の感覚はきっと違うから、「ばあちゃんはそう思うんだねー」の姿勢で義母の話を聴くよう心がけている。
きっと義母の時代の方が、今よりも嫁姑をより強く意識しながら過ごしてきただろうし、これからは私も義母もお互いにその意識から解放された関係が築けていけたら良いだろう。
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こんな風に日々試行錯誤しながら過ごしているところに、娘が教えてくれた枕草子の一文。
「千年以上も前から言っていることは一緒なんだね」
娘と二人で笑っていたら、なんだか気持ちが軽くなった。
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