オオルリ、コルリ、青い鳥
今年も「軽井沢野鳥の森」に、オオルリが渡来しました。冬を東南アジアで過ごし、繁殖のため、日本に戻ってきたのです。ピッキオのスタッフが確認したのは4月16日、ケラ池周囲の梢から、さえずる声が聞こえました。
今年はまだ新しい画像は撮影できてないので、ハードディスクを漁って過去の画像の選りすぐりを紹介します。トップ画像は上下が切られていますが、他はすべてノートリミングですよ。そのトップ画像のオオルリは、2012年4月30日に撮影しました。アブラチャンの枝に舞い降りた姿で、背景に写る黄緑色のボケはアブラチャンの花なのですが、今年はアブラチャンの花はすでに終わり、葉が芽吹き始めています。今年は植物の成長が早過ぎます。
2枚目は小瀬林道で撮影したオオルリ。尾羽の左右にある白い模様がよくわかりますね。オオルリは梢でさえずることが多く、声を頼りに姿を見つけても、下から見上げることがほとんどです。するとお腹と胸しか見えないので、白黒の鳥に見えてしまいます。さらに背中の青い色も、光の反射の関係で黒っぽく見えてしまいます。オオルリの青い色は、羽毛表面の微細構造が青い色を反射する「構造色」です。横や上から順光で見ると、美しい青色に見ることができます。軽井沢野鳥の森でオオルリを青く見るには、気長に低い場所に降りてくるのを待つしかありません。実は「青く見る」のが難しい鳥なのです。
地面から染み出した水に集まる虫を食べるため、目の前に舞い降りたオオルリ。採餌や水浴びなどで低い場所に舞い降りる瞬間が、青く見るチャンス。小声でさえずりながら尾羽を上下させる動作は、警戒している時のようです。自分から目の前に降りてきたくせに・・・。
軽井沢野鳥の森には、春になるとコルリも渡来します。オオルリよりも少し遅れて渡来するため、今年はまだ確認されていません。でも到着まで秒読みでしょうね。
オオルリとの区別点は、喉が白いことと、脚が長いことです。飛ぶ虫を空中キャッチすることが得意なオオルリは脚が短いのですが、地面を跳ね歩きながら地上の虫を捕まえるコルリは、すらりと長い脚の持ち主です。背面の青い色も、オオルリより渋い印象を受けます。
コルリも尾羽を上げる動作をします。メスが近くにいる時などにするようですが、この時周囲に他個体はいませんでした。
コルリも、さえずる時は梢近くにいることが多いです。しかし食べ物を探すのは地面なので、そんな時が青く見るチャンスです。特に渡来してしばらくは定期的に沢沿いに出没するので、沢沿いの遊歩道には「コルリ待ち」のバードウォッチャーが並ぶ事になります。もちろん私もその1人です。
オオルリもコルリも、青く美しい姿をしているのはオスだけです。メスはどちらも茶色い目立たない姿をしています。美しい青い姿は、オスが繁殖のために身を飾る晴れ姿なのです。
今回、ずいぶん昔の写真を投稿しました。この2種類の写真は毎年何枚も撮影しているのですが、背景が整理された写真となると数枚しかありません。事前に充分な下調べをして撮影場所を決められれば良いのですが、空いた時間や調査中に行き当たりばったりの撮影では、思い通りに構図や背景を選べないのです。野鳥の写真はやっぱり難しい・・・。
今年は木々の芽吹きが早いので、いつも以上にチャンスが少なそうです。さて、良いチャンスに巡り会えるでしょうか?
ピッキオでは今年も4月23日〜5月22日まで、朝5時出発の「早朝バードウォッチング」を開催します。最も野鳥のさえずりが多くなる春の早朝に、野鳥の声と姿を楽しみに出掛けませんか。青い鳥にも出会えるかもしれませんよ。
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