
第20話:俺は、おまえの味方。
その日は、日曜。
天候は台風の前の曇り。
明大前と下北沢での仕事を終え、夜は彼女とご飯の約束をしていた。
「お好み焼きを食べよう」となり2人は、下北沢の裏道にある隠れ家的な店に入った。
ここは昔、男が現役のころに、とあるヒップホップをやっていた女性を話に乗せるために使った場所。
結果、その女性はヒップホップをやめざるを得ない状況になり、その後は知らない、、、
俺はあのときとは違う、、
もうあの道には戻らんけどな、、
「ねえ!聞いてる?」
え?
あ、おう!
えっと、キュウリにハチミツでメロン味になる話だっけ?
「むしろそれ、今やってみたくてしょうがないわ」
どした?
「あたし、チャレンジしようと思うことがあって」
キュウリにハチミツを?
「作品に出てみようと思って、、」
男は、瞬時に彼女のチャレンジする作品がどんなものか分かった。
思うようにやってみれば良いと思う。
「やっぱ、そう言ってくれるのはあなたしか居ないね」
俺らの歩いた道は、大衆には理解してもらえないからな。
「なんで、賛成してくれたの?」
それが、自分を変えたり、赦したり、認めたりするキッカケになるかもしれないから、だろ?
「なんで心が読めるの?」
キッカケとか必然とかのロマンチックを信じる派だからな。
「らしくないね笑」
うっせーブス。
「ブスじゃないもーん」
彼女は仕事先=風俗業の繋がりで、アダルティな作品へチャレンジをする。
食事を終え、その後も少しお茶をしながら話を深めた。
このあと、深夜に担当者と打ち合わせがあるとのことで、彼女は下北沢を後にして池袋へ向かった。
男は、これから彼女がどうなるか、、
なんとなーく分かっていた。
本来は止めるべきなのかもしれない。
でも、それが、彼女自身が自身を救う道につながるってチャレンジするのなら、応援するしかない。
俺は、おまえの味方だからな。
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?