第五の季節 読後メモ

重厚な叙事詩のような雰囲気がありつつも、すぐに感情移入できてスッと読めた。嵌まって休日丸1日かけて読破。

・2児の母エッスンの被災物語
・少女ダマヤの成長記
・優秀な見習いオロジェン、サイアナイトの冒険譚
雰囲気や年代は違うように読める3つの話が進み、合流したときの納得感は見事で、それぞれの人格がどう積み重なったかが最後にぐっと厚みを増す。

世界観もオリジナリティがあって、特に説明のないまま謎の用語が使われ、段々と意味を掴んでいく読み方が楽しい。ちなみに巻末に用語集があるのは易しい。

言語ルールの違いが「読み手の世界」と異なることを感じさせる仕掛けも楽しい。
明示はないが、「地球」や「錆び」が「fxxk」や「shxx」の意味で使われている(たぶん)。
はじめのうちは、会話文中に突然「地球」やら「錆び〇〇」やらでてきて何事かと思ったが、どうやら罵倒しているだけ。よっぽど地球への恨みが文化となっていることも伝わるしなかなか面白い。ちなみに結構な頻度で何かしら挟まっているので「読み手の世界」のルールに翻訳すればかなりミーム塗れの物語になっている。
このあたりは日本語訳の感覚の問題もあると思うので、いつか別訳が出るようなことがあれば比べるのも面白そう。(原著が読めれば1番いいんだけど、、、)

他にもいろんな仕掛けがあって何度も読み直してみたい。
そしてこれは「終わりの始まり」。2021年春に次巻日本語訳版が無事に刊行されるよう心待ちにしています。

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