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NIPPON CHAMPION②

小学〜中学生のころに、プロ野球に興味を示し〜ベイスターズに興味を示し始めた頃、実際に球場で観戦をしたいと親にねだった事があった。

プロ野球観戦がしてみたい。それも横浜ベイスターズの。
親も少し困った事だろう。
東京都江戸川区在住の一家の子供がジャイアンツでもスワローズでもなく縁もゆかりも無いはずの横浜の名前を口走ったのですから。

普段姉弟で読んでいたパロ野球ニュースなどの影響なのだろうと、母親は多少の理解はあったこともあり、いよいよ「神宮とかなら行きやすいかもね。巨人よりも取りやすいと思うし」というお声が。

忘れもしない、
平成8年(1996年)8月8日のことだった。
テレビを眺めているとひたすらに
「フジテレビの日!」と謳っていた日だったので覚えている。


内野席のビジター側。
神宮なのでブルペンがいくらかよく見える。
今思うと、この子らのお目当ては多分、
ストッパーの"大魔神"佐々木主浩なんだろうとまで、母親に把握されていて、この席をとってくれたのだろうか?だとしたら常日頃以上に母親には頭が上がらない。

ウキウキワクワクはしていたと思うが、
初めてのプロ野球観戦、
初めての球場入り、
どんな顔で見ていればいいのか
どこを見ていればいいのか
多少のパニックになっていたような記憶がある。

でもその当時は、背番号さえ見えれば選手が誰なのかほぼほぼ把握していた。
実際にこの目で動いている野球選手を見つけては、「うわ!進藤!あ!佐伯!」とだんだんとボルテージが上がっていった記憶がある。

さて試合へ、
神宮球場に訪れていますから、
当然、対戦相手はヤクルトスワローズ

当時のヤクルトスワローズは名将・野村克也監督の下、旬が過ぎたと思われていた他のチームから移ってきたベテランが、まだまだいけるじゃないかともうひと頑張り主力として息を吹き返す、いわゆる「野村再生工場」という代名詞がよくよく聞かれていた。

巨人のエース斎藤雅樹から1試合3ホーマーを叩き込んだ、元・広島の小早川毅彦が個人的にはインパクトが大きい。ちなみにこれは1997年。

「再生工場」には当てはまらないかもしれないが、
この年もミューレンという外国人助っ人が新しく加入していた。千葉ロッテマリーンズから移籍してきた選手だ。

このミューレンが見事に当たりだったことを、
よりによってこの試合でまざまざと見せつけられる。
この日のヤクルトは、ミューレンのホームラン2発をはじめとする打線が爆発して、

結果からお伝えすると
たしか11-3 のボロ負け。

試合の中盤あたりで11点を叩き込まれ、
「そうか…観に来たからって、勝つわけでは無いのだな…」という現実を、初めてのプロ野球観戦で思い知らされたのだった。

この日の、少ない打点をあげてくれた内の1人が佐伯貴弘。打点を記録した後にレフトの守備についた時、ちょうど真後ろは横浜の応援団。

佐伯!佐伯!佐伯!のエールに対し、
早々にポジションについて構えていた佐伯。
試合の展開が展開なだけに、無視してしまっている?と思いきや、
素早くクルッと180度回転し、
ペコッと脱帽して一礼、
再び素早くクルッと180度回転して守備の構えに戻る。

すでに大量失点した後の打点だったこともあり、
大きくは喜べないが、エールには答えねばいけないし、ササッとやろうか、という感じの、

ひょうきんなキャラクターだが勝負強い、
なんとも佐伯らしいパフォーマンス。
このワンシーンを見て、打点をあげた選手には直後の守備で応援団からエールが送られ、それに対して小さくだが脱帽したりして答えるんだな。カッコいいな、という知識を得たのだった。

そしてますます佐伯貴弘が好きになった。

不動の1番 石井琢朗
ハマの核弾頭 波留敏夫
首位打者 鈴木尚典
打点王 ロバート・ローズ
満塁男 駒田徳広

強力な打線を形成する魅力的な選手が多くいるが、
自分の目には佐伯貴弘の勝負強さが一際光って見えたものだった。

8月の初旬で暑かった
試合はボロ負けな展開なこともあり、
目当てだった佐々木の姿も、チラッと見えて、
どうやら居るようだ、という感じだった。

あとは、子供ながらに、帰り道で夏休みの宿題が終わってないことへの憂鬱に苛まれていた記憶がある。

時々ユニフォームが欲しくなったこともあったが、
あの頃って、観客を見渡してもユニフォームを着ているファンは稀だった。
帽子でさえも、高いから勘弁してくれと親に言われた程だった。

親の躾のお陰と、自分のバカ正直さも手伝って、
「ユニフォームは高くて買えない、帽子も高くて買えない」という暗示のような、呪いのような、凝り固まった考えが災いしてしまい、前向きにはならなかった。

そして、あの「暗黒時代」によって、
ファンとしては情けないながら、一時的に目を背けていた時期もあったりもして、

大好きだった佐伯貴弘のユニフォームを、ついに買えたのは、とっくに佐伯が引退した後だった。

日本一を達成した1998年のスローガン
「GET THE FLAG!」を復刻させて開催された
2023年交流戦のカード。
当時のユニフォームも復刻販売された。
迷わずあの頃に買えなかった26番を購入。



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2024年10月12日
いよいよ始まってしまう。
クライマックスシリーズ ファーストステージ
甲子園での阪神戦。


いつまでもブツブツ言ってしまうが、可能であれば辞退して欲しいくらいだ。

直前のリーグ終盤の阪神戦は、
やはり苦手の大竹を攻略できず敗戦。
その2つ前は7回にリリーフがつかまり逆転負け。

最後の中日との連戦も3タテ出来そうで結局1つ落とした。

とても残り試合で弾みを付けた、とは言いにくい。
むしろ不安材料が目立つ。

そんなことをブツブツ思っていたが、
自分の身は正直、野球どころではなかった。

夜勤を終えて、新幹線に乗り込んだ。
まさか!甲子園に!?

いいえ、

翌日の10/13 に、愛知スカイエキスポで開催される、乃木坂46リアルミート&グリートに備えての名古屋前乗りである。

お昼をとっくに過ぎた頃に到着し、
話題だったつばめパンをゲットして食べたり、
いつもモーニングでしか入らない喫茶店の昼メニューを食べたり、名古屋に着くなり食い倒れようとしていた。

試合は始まっている。それは分かっている。
だからといって、速報アプリと睨めっこしてしまっては、せっかく降り立った名古屋を楽しみにくくなってしまうので、野球は終わってから結果を見るのみと決めていた。


などと言いつつも、
球団のX(旧Twitter)の通知を取っているので、
嫌でもiPhoneの画面に試合の戦況が流れてくる。

つばめパンを食べつつも、
どうやら先制しているようだと知る。
喫茶店に向かいながら、
桐敷相手に追加点をあげたことを知る。

そして
今季、先発ローテーションの大黒柱となったエースの東が負傷したことも知る。。。

つらい。。
つらいけど、喫茶店の鉄板カルボナーラが美味い。

なかなか来れない大須商店街のでらなんなんに向かう途中で、伊勢が8回の大ピンチを凌いだと知る。

チェックインの時間になったので、ホテルに向かう地下鉄の中でストッパー森原が登板し、なんとか抑えきりゲームセット。まさかまさかの初戦を取ったと知る。

いつもなら、伊勢がつかまったり森原がつかまったりするはずが、それよりも、東が早々に負傷してマウンドを降りてしまった後を繋いだリリーフ陣がペナントレースでの姿が嘘のように抑えていたのだ。

あまり考えたくはないが、
自分があまりチェックしたり試合を観れてしまうと、毎度毎度のことで、たちまち負けていってしまう気がするのだ。

この日も、極力情報を追わずに観光。
とにもかくにも、まさかのアタマを取ることに成功。


ずっと諦めないでいられたら
クライマックスは続く
歌詞があまりにタイムリー

リーグ最終盤にあれだけ良くない流れのままで全日程を終えていたのが嘘のような引き締まった試合だった。
自分の知ってるベイスターズといえば、
大きな連敗を止めた!翌日にすぐに負ける。
満塁のチャンスはピンチ。
カード3タテ!の次のカードに3タテされる。
連勝した後に順位が入れ替わる相手との対決になるとすぐに負ける。

基本的に良い流れをアッサリとフイにしてしまうし、
嫌な流れにはしっかりと乗ってしまう。

だからこそ、今季のCS進出には不安なことしか無いのだ。

そんな自分の気持ちを覆してくるような、
見返してくるような、
試合自体を見ずとも、
スコアや経過を見るだけで、いつものベイスターズと違うムードが窺い知れた。

もう少し、
何か起こしてくれるだろうか??

わかりました
信じるだけ、信じていきます。と切り替えた。

そう思いながら、
夜勤明けの疲れがドッと出て、
ホテルのベッドから動けなくなった。

10/13
昼前にセントレアへ。
楽しみな楽しみな、
小川彩ちゃんとのご対面です。

そうしている最中に、
今日も時間となりました。
ファーストステージ第2戦。

小川彩ちゃんとお話をしては、
デレデレを覚ますために一旦外に出る。
iPhoneが逐一届けるベイスターズの通知。
チラチラと見てはソワソワ。

第1部
「うぎゃぁーーかわいいーー♥︎」
第2部
「うぎゃぁーーかわいいーー♥︎」
と、順調にリアルミート&グリートは進む。

2部が終わった頃には試合が始まっており、
どうやらタイガース未来の主軸である森下翔太の先制ソロが飛び出したと知る。
やはり最大級に警戒すべきは森下のようだ。


その後も順調に小川彩ちゃんの可愛らしさにやられながら、夕方が近づく頃、なにやらベイスターズがリードし、点差が広がっているという通知。
2回に4点
7回に6点
俄かに信じられない。
小川彩ちゃんと数秒のお喋りが出来る順番を待ちつつ、iPhoneのロック画面に届く通知には、次々と得点を知らせるベイスターズ公式のポストが並ぶ。

このまま行けば突破だ。。
小川彩ちゃんとお喋りに向けての緊張と、
ベイスターズが勝てそうだという緊張が入り混じり
多分変な顔になっていたと思う。

楽しい可愛い
小川彩ちゃんとのお話を全て終えて、
名残惜しいが帰路につかねばなりません。

セントレアから素早く脱出するためには、やはりミュースカイ。乗り込んで程なくすると、試合終了の知らせ。

ファーストステージ突破である。 

「おめでとうございます」
そう隣の席で言葉を掛けてくれたのは、
X(旧Twitter)のFFの方。阪神ファン。
なんとも気まずい気持ちだが、
ありがとうございます。
きっと巨人を倒して見せます。

打線復調の兆しは大きい。
しかし、シーズンを支えたエースも、その女房役も失ってしまった。不安は常にある。

ともあれ、
想像もしなかった事が起きている。
B'zの最新曲「イルミネーション」で歌われているように、ずっと諦めないでいられればクライマックスは続くのだ。とにかく信じます。

帰り道の新幹線で、試合のハイライトを何回も見てしまった。
本当だったのね。と確かめるような気持ちで。

次の相手はセ・リーグ王者 ジャイアンツ

ファーストステージと同様の不安ばかりだが、
ずっと諦めないでいられればクライマックスは続く。
はず。


つづく







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