手書き文字の魅力
以前、手紙や文通のことを書いた流れで、手書きの文字についても思いを巡らせていた。
読書が好きなのもあるけれど、文字が書かれていると読みたくなる。
それは特に手書きで書かれている文字。
遡ること小学生時代
小学生の頃、昭和60年代。
学校の配布物…特に保健室の先生が発行している保健便り、給食のメニューや栄養のことなどのコラムが書かれている、栄養士さんが発行している給食便りなどは、パソコンではなくて手書きのものが主流だった。
イラストは資料から切り貼りして使っていたような…手作り感満載のものだった。
月に一度配られると、そのまま隅々まで目を通していた。
丁寧で読みやすい文字で書かれていて、文字を書くのが下手な私は「こんなふうな字を書きたい」って思いながら憧れ、そして書かれている内容も、手書きだからこそ、伝わってくるものがあって、すんなりと「気をつけよう」とか「やってみよう」と受け取れた。
それは授業中、先生が黒板に書かれる文字も。
「好きだなぁ」と思う文字を書かれている先生の授業は、丁寧にノートに書き写したくなるし、授業も身が入りやすい。
学校で作る文集のようなものも、各自手書きで清書したものがそのまま印刷されて発行された。
友達の書く内容…というよりも、文字を見ることが好きだった。
一人一人、全然違う筆跡。
のびのびと素直な文字、角ばった文字、可愛らしい文字、書道を習っていて書写のお手本のような美しい文字…。
個性や人となりが伝わってくる。
そういった配布物や掲示物など、友達の文字を見る場面が増えると、自分の文字は、いつも丁寧を心掛けておらず、雑さを感じるし、みんなのような「私らしい、個性が伝わってくる自分の文字」というものでは到底なくて。
自分の文字に自信が持てず、いつの日からか、その時々で憧れる友達の文字の真似をするようになった。
実家暮らしの頃、引越すタイミングで、小学校の頃の作文などが学年ごとにひとしきり取ってあったのを見返したことがあったが、4年生あたり以降からはその時々で、文字の書体が全く違っていた。
(文通をしていた友達に送った手紙の筆跡も、毎回のように違っていたはずだ。)
4年生というと、背が小さくて痩せていたことや、自分の意見をはっきり言えなくて周りに合わせるようになったり…と、コンプレックスというものにぶつかり、自分軸がブレブレになってきた頃。
とにかく周りの友達のことが良く思えて色々な友達に憧れ、同じように出来るようになりたい、みんなに好かれたい…なんて思って、自分を生きていなかったようにさえ思える。
結局、思春期もそのような具合で、10代後半くらいなってようやく
「こんな自分、自分でも面倒くさい人だな」と思えて、「もう、このままの自分を好きになってもらえればいい」ってそこからようやく「自分」の人生を歩み始めた。
その頃から自分の筆跡も安定してきたように思う。
働くようになって
働くようになり、当時は手書きのものが多い職場だったので、まだまだ自分の文字のコンプレックスと戦うのだった。
お客様の目の前で、手書きで領収書を書くことがあり、見られながら書くことに緊張感があって嫌で…。
文字も下手になってしまうのだ。
POPに出会う
販売の仕事の時は、お店のPOPを描くこともあった。
当時はパソコンではなく、マーカーなどで手書きしたものを使っていた。
POP文字もマス目いっぱいに描くイメージで、一般的な文字とは書き順が違ったりする。
POP文字の講習会に参加したこともあった。
文面も自分で考えたり、それを読んで購入してもらえることも嬉しくて、POPを作成する作業が好きだった。
ただ、上手く書けなくて何度も何度も書き直し、苦労もしたのだけれど…。
最近はお店で目にするPOPもパソコンで作成されたものが殆ど。
どうしても目に留まらず、流してしまう。
しかし、今も手描きを使うお店は存在している。
有名なのは、独特な文字、インパクトのあるイラストでおなじみのドン・キホーテ。
手書きのPOPを描く専門のライターがいらっしゃるのだ。
以前テレビでたまたま見かけたことがあった。
ドンキ特有の文字を書くための研修があるらしい。
自分の文字で商品の魅力を伝え、購入意欲を引き出す。
これを知った当初、「やってみたい‼︎」と思ったが、近くにドンキが無くて断念。
その後、ドンキに行けたときに一つ一つのPOPをじっくり見て、それはもう作品の域。改めて素敵な仕事だと思った。
ドンキ文字という、一つの型を皆が習って書くのだけれど、同じような文字にしても、書き手の思いや個性が伝わってくる。 これはやっぱり手書きだからこそ。
手書き文字フェチなんだと思う
実はこれをここまで書いて纏まらず、投稿出来ずにいた。
自分が書くのは苦手だけど、誰かの文字は好き。
そんなことを思いながら過ごす中で、noteで手書きの文字のことを取り上げられている方の文章を読んだり。
そしてこちらの本と出会った。
こども向けの「たくさんのふしぎ」というシリーズで、なんと最近販売された本。
普段文字と向き合っている、お習字の先生をされている方がまとめたもの。
もう、私の「好き」が詰まっていた‼︎
私の長年の気持ちも肯定された気分。
コレを求めていた‼︎
この本を作ってくださったことに感謝。
たくさんの方の文字を見ることが出来て本当に面白い。
稲川淳二さんの文字まで‼︎
(こちらはAmazonリンクから、何ページが見られるので、そちらでも見ることが出来ます。)
文字って個性が現れている。
改めて、私って手書き文字フェチなんだな、と思った。
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