待たない、ちょっと待ちたい
ドイツのオフィスへ出張に行って真っ先に気づいたこと。それは、ドイツ人がエレベーターの閉めるボタンを押さないことだ。エレベーターに乗る、行き先階ボタンを押す、先に乗っている人と世間話をする。ボタンの近くにいる人が必ずドアの開け閉めをコントロールする日本に慣れていると、ドイツのエレベーターでの時間はゆっくり流れる。逆に、ドイツ人の同僚が日本出張に来たときは、日本人が必ず閉めるボタンを押す様子を珍しがり、エレベーターに乗ると誰よりも先にボタンを押そうとしていた。わたしたちはなぜあんなに急いでいたのだろう。確かに、会社員は時間に追われている。でもそれはドイツでも同じだ。ドアが勝手に閉まるまでの数秒を節約してまで早くオフィスに戻る必要があったのだろうか。タイムイズマネー。資本主義の中でわれわれは自分の時間を労働にかえて切り売りしているのです。そういうのは癪なので、日本のエレベーターでも閉めるボタンを押さないようにしてみる。長い。ドアが開いたままずっと待っていると、何か間違っているような気分になる。やっと閉まる。しばらくこれでいきましょう。癖でたまに押しますけどね。