NEXT STAGEの扉。

9月7日、Stand-Up! Heartsの一周年記念ライブがTSUTAYA O-WESTで開催されました。
自分が特に応援しているアイドルであるアフィリア・サーガの妹分であり、研究生という立場のStand-Up! Heartsはデビューのステージから何かと見る機会も多く、一年経って残念ながら卒業・脱退していったメンバーも半数近くいて決して順風満帆にアイドル道を歩んできたグループではないし、一年経ってもオリジナル曲すら無いという他のアイドルグループと比べれば極めて異質な状態。
それでも諦めることなく対バンのイベント出演やCHEERZのイベントで着実に実力と知名度を上げてきたグループ。
今回はゲストにアフィリア・サーガも出演するものの、Stand-Up! Hearts史上一番の曲数の多さで臨む一周年記念ライブということで前日からツイッターでもその緊張や不安、ドキドキソワソワに溢れていたのが新人アイドルらしく初々しく、かつてのアフィリア・サーガの初ワンマン前の雰囲気を彷彿とさせた。妹分ということで、そういうところも似てきていたのかもしれない。
会場前にはフラワースタンドが並び、ファン有志のうちわやサイリウムやメッセージカード企画とファン側にも気合いが入っていた。

ライブはStand-Up! Heartsの『NEXT STAGE!』から始まった。そのライブをもってStand-Up! Heartsから卒業、アフィリア・サーガへの昇格が決まっている成瀬桃子さんが正直アフィリア・サーガでのパフォーマンスよりも良い笑顔で全力のステージングをしていたように感じたのは良くも悪くもだろうけど、ハーツとしての最後のステージという意味では最後に一番良いライブができたっていうのは良かったと思う。サーガとしてはまだまだこれから。
成瀬桃子さんはやっぱりステージ経験値もあってハーツのステージ上でも目立って見える場面の多かった子なので、成瀬桃子さんの卒業後のハーツもまた、違って見えるようになっていくと思う。
まだステージデビュー前でレッスンをしていた頃にルイズさんが、中学生のめちゃめちゃダンスのうまい子がいるっていう話をしていたくらいだったけど、この一年で身長という具体的な意味でも一番成長したであろう虹香さんがセンターで堂々たるパフォーマンスをしていたのが印象的だった。
20時までしか出られないからという想いもあったのかもしれないけれど、ただ個人のダンスのスキルという部分じゃなく、一曲一曲をセンターに立ってグループとしてのハーツをまとめて引っ張っている、中心にいるべき力強さを感じました。
成瀬桃子さん参加のラスト曲として選ばれたのが『はぴねす!』というのも、ハーツにとってそれが嬉しいこと、おめでたいことという気持ちを象徴していて、サプライズでの花束の演出もあったり、この曲自体は以前からカヴァーして披露をしていたわけだけど、カヴァー曲でもカヴァーしているだけじゃない、ハーツが一年やってきてその中でサーガへの昇格を祝う笑顔と寂しさの涙とライブの汗とでキラキラに輝くステージは、一周年のStand-Up! Heartsにしか出来なかった、歌えなかった歌になっていたし、キラキラを届けたいというStand-Up! Heartsのコンセプトをまさしく体現していたと思う。
そこでそれまで堂々とパフォーマンスしていた虹香さんが号泣して目を押さえながら踊っていたのも年相応の可愛さと、メンバーの卒業する寂しさを誰より素直に現していて感動的だった。

このあとハーツの新曲として披露されたのがアフィリア・サーガの『教育的指導!』だったのは少々複雑な気持ちになってしまった。
最初に披露された『NEXT STAGE!』もそうだが、アフィリア・サーガが最近やらない曲をStand-Up! Heartsにやらせるといった傾向があるし、ハーツがカヴァーしたということは、しばらくアフィリア・サーガとしてやらせる気はないという運営からの宣言と同義。それはアフィリア・サーガファンにとって決して嬉しいことではない。
そもそもサーガがふつうにライブでやってくれていたら何の問題もない。研究生であるStand-Up! Heartsがアフィリア・サーガの出演しないライブでアフィリア・サーガの楽曲をやってくれる、その良さを広めてくれることは素晴らしいことだし、カヴァーされること自体は全く嫌ではない、嬉しいことなのだ。
だが今の状態はカヴァーではなく、やる気がないから代わりに歌わせている、だけだ。
だから今回のStand-Up! Hearts一周年ライブにおいてアフィリア・サーガは絶対に『NEXT STAGE!』をやらなければいけなかった、と思っていた。
だけどやらなかった。
正直『逃げたな』と思ってしまった。
レイミーさんが舞台の稽古中で、新メンバーも加入したばかりで、振り入れして立ち位置調整してというのが難しかったというのはあったけど、それでも絶対に強引に無理してでもやるべきだった。しかもその『NEXT STAGE!』も収録された新アルバムRealismのリリースタイミングである。ここしかなかったんじゃないか。ここでやらないでどうする?と。
同じ曲を同じライブで2回やることに抵抗があるのか?たった2回見せられただけで飽きてつまらないと思われるようなクソ曲をクソパフォーマンスでやってるというならそれも仕方ないし、だったら売れないのも必然だ。
でもそうじゃない、そうじゃないじゃん。そうじゃないって自分は思ってる。
アフィリア・サーガが今回やってみせることで、この一年Stand-Up! Heartsがカヴァーして歌い続けてきた『NEXT STAGE!』の良さも悪さも成長も個性も、一方でアフィリア・サーガの良さも悪さも成長も個性も、改めて見える唯一無二の絶好の機会だったんじゃないか。
先日、新ユウユさんがサーガさんみたいにフォーメーションをきっちりして『NEXT STAGE!』をやりたいと言ったのは、立ち位置の固定されていないハーツの弱点と、逆にアフィリア・サーガにしか出来ない『NEXT STAGE!』の魅力をわかりやすく表現した発言だったと思うし、サーガにもやってほしいという後輩からの率直なメッセージだったようにも感じた。
今回はコラボとしてサーガとハーツでの『ニーハイ・エゴイスト』があったけど、それこそニーハイ・エゴイストみたいな楽曲こそStand-Up! Heartsにカヴァーさせるべき、サーガの出ない色んなライブイベントでやってもらうべき楽曲だし(フランスで衣裳を着てくれたのは本当によかった)、そうやってアフィリア・サーガもStand-Up! Heartsも両方がやっているからこそ、その違いも個性もはっきり見えてお互いが切磋琢磨できるのだと思う。どちらかが明らかに悪いと言われてしまうようなら、奮起するきっかけにもなるだろう。
そのチャンスを自ら潰しているのだ。運営もメンバーも逃げている。この一年、一周年という区切りでアフィリア・サーガとStand-Up! Heartsを見たとき、アフィリア・サーガはずっと逃げ続けただけの一年だったんじゃないかと思ってしまった。

サーガの出番のあとは再びStand-Up! Heartsのステージ。成瀬桃子さんと虹香さんの抜けた10人でのステージになったが、そこでセンターに立って歌っていたのが舞波和音さん。CHEERZでの活躍もめざましく、この一年でライブステージ、アイドルとしてのステージで一番成長したというか、『伸びた』のは舞波和音さんなんじゃないかと感じていた。そんな彼女がライブ後半ではセンターに立ち、最後のMCの挨拶でも中心になってハーツの代表としての言葉を話していたのは、努力が報われること、頑張れば結果がついてくること、この一年のStand-Up! Heartsの成果そのものだったように思う。
もちろん名前を挙げたメンバーだけじゃない、めいあいへるぷゆー?でのわちゃわちゃとした楽しそうな雰囲気、蒼黒のスピカでの愁いを帯びた切ない表情、教育的指導!やDrawing Againでのファンの存在・自分たちを見てくれている人たちを意識して全力で向き合っている姿勢といった、一年前のステージには全くなかった要素をメンバーの一人一人が作り上げている。一人一人に成長を感じられた。
メンバーが改めて今後やりたいこと、オリジナル曲、CDデビューといった抱負を語ったあと、最後の曲の前にはサプライズとしてユカフィンさんとマホさんが登場。最初に出てきたユカフィンさんに気を取られているうちに後ろから脅かしにかかっているマホさんが可愛かった。コラボのニーハイ・エゴイスト時にルイズさんがハーツメンバーにマイク向けたり背中を押して前に出したり、ユカフィンさんがサプライズ発表を聞いたハーツメンバーに○○ちゃんどうよ?○○ちゃん大丈夫?と話を振っていじっていったり、今日のStand-Up! Heartsを立てようと立ち回る先輩たちの優しさや大きさも感じられたのはよかった。
CDデビューやオリジナル曲については予想もしていたことなので特に驚きはなかったけど、やっぱりメンバーにとってもファンにとっても待望の発表だったので喜びもひとしお、心からの笑顔と涙にステージだけじゃない、フロアも会場全体が包まれたのは一周年の最高の祝福になったと思う。
嬉しいこと楽しいことだけじゃない、つらいこと苦しいことのほうが多かったかもしれない。Stand-Up! Heartsのように一年やっていまだにオリジナル曲が無いなんていう状態で続けるなんて不安も不満もいっぱいだろうと思う。一年前のステージデビューの時点でオリジナル曲があって当たり前、そのためのオーディションじゃないの?と思ってるのが当然。
それでも人生をかけてこの一年続けてきて得たもの、得られたもの、これから得ていけるものの大きさとかけがえなさ、アイドルやってよかった、アイドルって最高だ、もっともっとアイドルやりたいっていう希望と自信と力、それを支えてくれているファンや家族やスタッフの皆さんへの感謝とを改めて感じられた一日になったんじゃないか、なっていたならいいなと。
NEXT STAGEの扉を開けて前へ前へと進んでいくStand-Up! Hearts。アフィリア・サーガとの差は縮まるのではなく、逆にもう開くほうになっているのかもしれない。









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