コロナウイルス奮闘記 #23
レスラー
先の展開が予測できない映画だった。
全盛を終えたレスラーである主人公が孤独を感じる前半から、中盤に差し掛かるにあたって状況が好転していく。
主人公がこのまま幸せになるのかと思ってみていると、段々と雲行きが怪しくなっていった。
人間関係の不安定さは、猫のようで、その態度は優しい時もあればそっけなく厳しい時もある。
人間関係の態度によって自身の幸不幸が揺らがされていく。
映画の各所にグロテスクな表現も多くあって、見るのがつらいシーンもあったけど、リアルが感じられた。でも、見るに耐えなかった。
リアルというと、カメラの写し方のおかげでリアルに見えることがあった。
主人公が歩いているのを後ろからカメラがずっと映している(表情が見えない)のは、リアルな生活感があった。
カメラの写し方とか全く詳しくないから、映画人には当たり前の技法なのかもしれないけど。
初登場時、その技法によって、主人公の顔が長い時間見えなくて、主人公の人相に妙な期待感があった。顔の持つ影響力は大きいなと思った。
この映画のラストシーン、主人公はレスラーとして何度も立ち上がる。
持病が、心臓を苦しめても、彼はレスラーとしての一生を終えるため、何度も立ち上がる。
レスリングのためにわざわざ死ぬことはないだろうと思うけど、彼はレスリングのためにしか生きられない。
彼は死の直前までレスラーであり続けた。
カッコ良かった。
僕も、何度でも立ち上がりたい。
何者かであり続けるために、何度でも立ち上がる。
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