麦茶の味
北海道で起こった地震から早1週間が経った。
札幌のわたしの住む地域は物流も安定してきて、徐々に日常を取り戻しつつある。
1週間前は停電の中で非日常を過ごしていたのが夢のような不思議な感じだ。
わたしのエリアはまる2日停電だった。
地震の被害はほとんどなかったし、水道もガスも使えたけど、停電はまいった。
鍋でごはんを炊き、冷蔵庫のものを痛む前に必死で料理したり、食べたり。
アイスは溶けてダメになった。半解凍になったあさりはすごく悩んで、捨てた。
停電で断水のうわさもあるのに(結局断水はうわさで終わったけど)貝にあたってしまったら手の施しようがない。
それでも1日目はみんなで暗闇の中を散歩したりろうそくの灯りで過ごしたり
暗くてやることないので9時半前に寝たり(ねれないかと思いきや、朝の8時過ぎまで爆睡・・・)ちょっとキャンプ気分で楽しんでいたけど、2日目は早朝にすぐ近くのエリアまで回復したのにわがエリアは一向に回復せず。
そのときは本当にやきもきした。
2日目の夕方、回復してるエリアの友だちから「シャワー浴びに来ない?」というお誘いがきた。
今日直らなかったら水風呂を浴びるしかない、と本気で思っていたので(9月だからかろうじて大丈夫!)好意に甘えることに。
友だちが大きな氷が入った冷えた麦茶を出してくれた。
その麦茶が冷たくて美味しいこと。
氷は大きかったので停電でも溶けきらずなんとか大丈夫だったのだそう。
停電が続くあの状況で、氷はとっても貴重なもの。
友だちは、自分の家にあるいちばんのとっておきをわたしたちに出してくれたんだよね。
シャワーを浴びて充電させてもらって。テレビを見ながら情報収集までさせてもらって。ありがたく帰宅した。
友だちの家から帰ってしばらくしたらわがエリアの停電も解除され、普通の生活を送れるようになってきたけど。
あのときの麦茶と氷。
のどをうるおす冷たさ。
シャワー浴びにおいでよってこころよく声をかけてくれたあの思いはきっとこの先も忘れられないだろうな。