二匹の猫と楽しい毎日ー10(二度目の子育て)
【前回】子猫をうちで飼うことになって<そら>が不安な気持ちになった。
二度目の子育てになった。
といっても<そら>は人間ではないので、どう思っているのかわからない。
ただ、妻と友人の洋子さんの話では、<そら>のお嫁さんにして、子供を産ませようとしている。
<多頭飼い>について書いてある本によると、とにかく先住猫を優先するのが必要なようだ。
しかしいつまでも二匹目の猫を妻の部屋に閉じ込めておくわけにはいかない。
妻が出入りするたびに、<そら>は妻の部屋に<何かがいる>のが気になるらしく、隙間から入ろうとする。
翌日、本に書いてある通り、大きなケージを買ってきてその中に二匹目の子猫を入れて<そら>と対面させた。
<そら>は用心深く体を低く保った姿勢でケージに近づいた。
そしてその中にいる子猫に向かって「シャー」と口を大きく開けて威嚇した。
子猫はケージの反対側に逃げ「ミー、ミー」と鳴き声をあげた。
少しの間<そら>を子猫に対面させた後、また妻の部屋の扉を閉めた。
<そら>は妻の部屋に入ろうと扉をひっかくので餌でつって、リビングに入れた。
それからは対面時間を少しずつ長くした。
しかし、相変わらず<そら>は「シャー」と威嚇している。
「ところで、あの猫の名前はどうするの」
「<そら>の相手だから<うみ>とか」
「<うみ、うみ>て呼ぶのは、なんか汚らしい感じがするわ」
「<クロ>とか<シロ>とかは」
「犬みたい。それにあの猫はメスだから、もっと可愛い名前がいい」
「ミー、ミーないているから<ミー>では」
「なにか物足りないわ」
そのときテーブルの上のミカンに目がいった。
「<みかん>はどうだい」
「<みかん>なら呼ぶとき<ミーちゃん>てよんでもおかしくないからいいいかもしれない」
その晩早速、妻は洋子さんに子猫の名前が<みかん>になったとメールを送った。
それから二日後には<そら>も慣れたのか、ケージの中の<みかん>に「シャー」は言わなくなった。
それは<そら>が「シャー」というと、妻が<そら>を抱き上げて「シャーはダメよ」といってあやしたのもあるかもしれない。
アメリカンショートヘアーという猫種はあまり人に抱かれるのが好きでないと書いてあったから、抱かれたくないので「シャー」をやめたのかもしれない。
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