親不知抜歯のち腫れ 最終話
診察室に入ると
優しい顔の先生が
迎えてくれ
「体調悪くない?」
と聞かれるも
緊張で体調不良
とは言えず…
ただ
私の心を
エスパーかのように察知してくれた
「抜く緊張で元気がないよねー」
と言ってくれ
なんだか
力が抜けてしまった
私が選んだ歯医者さんは
「日本歯科学会の指導医」
という
資格を有しているようで
口を触る手つきが
非常に安心感がある
何より
穏やかに対応してくれる
中年の男性の先生が
私をほっとさせてくれ
ここにしたのだ
「じゃ麻酔打つねー」
と言われ
口を委ねる
あーこわいー!
と
???
全然痛まない!!
何本打ったのか
いつ打ったのか
全くわからぬまま進み
あとは
結局
抜いたか抜かないかもわからないまま
ただ緊張を和らげてくれたのは
先生のことば
そして
抜歯中に当たる先生のお腹だった
身体に触れる安心感の重要性を
身をもって体感したのだった
安心感を与える
お腹ってすごい
でも
そこに当たるために
ズレゆくタオル
いつのまにか終わった抜歯の後に
見せてくれた歯は
健康な
太い親不知だった
虫歯には幸いなっていなかったが
歯周ポケットが歯周病になり
身体を蝕んでいたようだ
体温が上がり
身体は軽快
親不知抜歯のち腫れ
今は
抜歯翌日で
腫れがでるも
痛みはなく
腫れは
晴れの
私の気持ちのよう
あー
すっきりしたー
口内はまだ
血の香りが漂っている