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【夜のハイカイ】みんな水の中ー 溶け合う境界、漂う視線

【#3 夜のハイカイ】みんな水の中ー 溶け合う境界、漂う視線
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こんばんは。江戸時代の人々が俳句を連ねて楽しんだように、医師たちが本を介して人間という存在の不思議に迫るポッドキャスト『夜のハイカイ』。今回は家庭医のたっしーと漢方医のおかんが、横道誠さんの『みんな水の中』を手がかりに、発達特性というテーマに深く分け入っていきます。このnoteでは、Podcastで取り扱った内容を書き留めていきたいと思います。

▼人間の多様性を見つめる一冊
「最初の数ページから、これまでに見たことのない独特の表現に引き込まれました」とおかん。京都府立大学准教授の横道さんが、40歳でのうつ病診断をきっかけに、自身の自閉スペクトラム症(ASD)と注意欠如・多動症(ADHD)の特性と向き合い綴った渾身の一冊です。

▼「ニューロダイバーシティ」という希望
「発達障害を持つ人々の脳の仕組みが異なるのは、決して劣っているわけではない」—1990年代に生まれたこの考え方は、人間の多様性を豊かさとして捉える新しい視点を私たちに提供してくれました。

▼医療現場からの気づき
「実は医療者の中にも、とんがった特性を持つ人は少なくないんです」とたっしー。医療という世界で、その特性をどう活かし、どうサポートしていくのか。現場からの率直な問題提起に、おかんも深くうなずきます。

▼「雨時々曇り」の日々
本書の中で印象的だったのは、発達障害の特性を「晴れ時々曇り」ではなく「雨時々曇り」と表現した箇所。「物忘れが時々ある」のではなく「物忘れがない日の方が珍しい」という体験の質的な違いが、この表現から鮮明に伝わってきます。

▼伴走者としての医療者
「診断をして終わり、ではないんです」とたっしー。必要な時に適切な診断を行い、自己理解を支援し、時には学校や職場への橋渡し役となる。そんな伴走者としての医療者の役割が、対談を通じて浮き彫りになりました。

▼次回予告:生命の神秘を探る旅へ
次回は趣向を変えて、長谷川眞理子さんの『生きものをめぐる四つのなぜ』を取り上げます。蛍はなぜ光るのか、渡り鳥はなぜ旅をするのか—生物の特性から人間の本質を探る旅に出かけようと思います!

【参考情報】
書籍:『みんな水の中』横道誠著(医学書院)
出演:たっしー(家庭医)、おかん(漢方医)
収録:2024年1月

おかんとたっしーの対談の続きは、ぜひPodcastでお楽しみください。

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