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私には必要だった不要な物
私には数年前まで顔にあざがあった
いつの日からか40数年共に生きた
左目の下から頬にかけてあざ
太田母斑である
幼少期はさほど気にしていなかったが中学生になった頃、写真に写る自分の顔にあざがある事がいつも気になっていた。
あざが無ければもっと可愛く見える⁈
誰かに何か言われないだろうか?
どう見えているのだろうか?
そんな事も気になっていた
今とは時代が違うからか?あざに気づいても友人達は何も言わなかった。
体調によって濃くなる事もある
ただ、私は周りに恵まれ、また医療系の大学にいった事も幸いだったのか?そのあざでイジメられたりする事は無かった。
私もあざに気づきながらも両親に何故あざがあるのか❓と聞いた事は大人になるまで無かった。
子供ながらに聴いちゃいけないような気がしたからだ。
大学3年ごろに母にあざについて消す事は出来ないのか?医者に聞いてみたいと言った。
総合病院の皮膚科形成外科にいって相談した。しかし、その当時はレーザーなど今のような高度な物は殆ど無いため、女医さんだったがあまり薦め無いと言われた。化粧などである程度誤魔化せる事もあり、逆に治療によってもっと目立つ可能性も指摘された。
今まで気にならなかったのか?と母に問いただした事があった。
母は顔だからやっぱり治療で上手くいかなかったら!と思っていたと言った。
たまに、知り合った人に顔ぶつけたの?と言われる事はあったが、生まれつきのあざなんです!と笑顔で言った。
あざを気にならないか?と友人に聴いた事もあったが、言われればあるのは知ってだけど、気にならないと言ってくれる。
お陰様で彼氏もできたし、結婚もできた。
他人からどう思われても結婚もしたし気にする事無いかな?と思っていた時、旦那がたまたま医者をしている妹に私が気にしてる事を何となく言った
太田母斑ね!あるね!
気になるなら形成外科紹介するよ!と言われた。
何か軽かった。
レーザーで綺麗になるよ!
ちょうど太田母斑が保険で治療できるようになった矢先だった。
大学病院を紹介してもらい、初診の時に先生に昔の治療しなかったのは正解だと言われた。
そして私の中でずっと気になっていたあざの治療が始まった。
レーザー治療だが顔に麻酔をし、やった後は数日火傷のように痛みを伴った。
一年ちょっとかかった治療が終了
今まで気にならなかった反対のシミが気になるようになった。
人間というのはこれさえ無ければ!と思ったのも束の間、一つ問題が無くなれば他が気になる
欲深い
治療は上手くいき、あざがあったのが不思議なくらい自然になった
私を悩ませいつもどこかで気にしていた物が無くなる
心が軽くなった
母も喜んでくれていた
もう写真もあざを気にしないで済む。
あんなに気になっていたのが無くなった事に嬉しさを感じる
でも、そのあざは私に必要なものだったのでは?
私はそのコンプレックスがあったおかげで、人に優しく痛みがわかる事が多かったのではないか?
綺麗な顔で何もなく生まれていたら
高慢ちきだったかも!
私はあざのある事で嫌な想いをしなかったのは本当に感謝しか無い。
自分に何かコンプレックスや引け目を感じる事があったから、調子にのらず外見に対する偏見などを持つ事がなったのでは無いか?
自分が気にしている事は他人にとってどうでも良い事だったりするがそれがある事で謙虚になれた自分がいるように思う
しかしそれは私の心の弱さでもある
あざを隠そうとする事もなくなった
心が軽い
でも、そのコンプレックスを一つ無くなった事で気持ちがより前を向ける
しかし、あの時あった心の重さを忘れてはいけない。
同じように何か悩んでいたりコンプレックスを持った人の気持ちを理解できる自分でいよう!
人間顔では無いというが、やっぱり気になったその気持ち
年齢と共にシミの気なる年齢
もし、今もあのあざがあったら、シミは気にならなかったのかな?と思わず考える
もし、同じように気になっている人がいたら、病院で相談してみてはどうだろうか?
私はやった事で人前に出る時に隠す物が無くなった心の軽さに今も嬉しく思う。
たかが「あざ」それど「あざ」
私には必要なコンプレックス
不要な物だったけど私には必要だった物のような気がする