【妊婦の1日】新年会で旦那が号泣した話
先日、旦那さんのお義兄さんご夫婦と我々夫婦4人でこじんまりと新年会という名の「もつ鍋会」を開催しました。昨年はお義兄さん宅にお邪魔したのですが、今年は私が妊娠中ということもあり、我が家でおもてなしさせていただきました。
4人とも30代、親戚ということもあり話題は義家族のこと、義両親のこと、そしてこれから産まれてくる私たちの子どものことなどが中心。
そんななか旦那さんが感極まって突然泣き出すというサプライズがありました。その涙がとても温かくて優しかったので記憶から消えないように……しっかり記録しておきたいと思いこのnoteを書いています。
物心ついたときから子どもが欲しかった
結婚前から最近まで、旦那さんに何度も質問をしては同じ答えを受け取っていた問い。
「なんで子どもを欲しいと思ったの?」
この質問を投げかける度に彼は「物心ついたときには当たり前に思っていたからなぁ……なんでと言われても……」と困ったように話していました。
不妊治療をカミングアウト
お義兄さんご夫婦には現在子どもはいません。
妊娠や出産はデリケートな話。仕事との兼ね合いや、身体との相談、お金や時間の使い方まで生活全てに影響を与えてかねない話題。だからこそ、今まで踏み込んでお義兄さんご夫婦と子どもの話をしたことはありませんでした。
それでもお義兄さんご夫婦には、私のお腹にいる子は「不妊治療をして授かれた」ことを知っておいてもらいたいと私たち夫婦は考えていたため、折を見て彼が粛々と報告しました。
お義兄さんとお義姉さんは「実は……お義母さんから体外受精ってことは聞いていたんだ」と話してくれました。それでも私たちから話し出すまで、そこには触れずに普通に接してくれていたんだそう。
そこからは、いつごろ何をしていたかというお話しを一通りしました。結婚前のブライダルチェック、不妊の原因は私のホルモン数値が悪かったこと、病院3件目でやっと治療開始できたこと、自己注射をしたこと、お腹に貼るテープが痒かったこと……。
そして、私たちが不妊治療に踏み切るまでの気持ちの変化。
子どもを強く望んだことは1度もなくって……
妊娠するまでの私は「子どもが欲しい」という感情を抱いたことがありませんでした。
だから不妊治療をはじめた理由は「結婚したパートナーが子どもを望んだから」になります。
この点お義兄さんご夫婦にも共感をいただけて……「子どもはいてもいいし、いなくてもいい」という感覚は理解できると言ってもらえました。そして話題は彼の「子どもがどうしても欲しい」という感覚はどこからくるのだろう?という疑問に発展していきました。
「子どもが欲しい」は「なんで生きているのか」を考えることと同じで答えのない感覚だと思う
彼は3人から問われるかたちで、幾度となく私がぶつけてきた「なんで子どもが欲しいと思ったの?」という難題に向き合うことになりました。
お義姉さんから「憧れとか?愛とか?子どもがいることが幸せに感じるってこと?」と、とめどない質問。
彼は冷静に言葉を噛み砕きながら「子どもが欲しいことはなんで生きているのかを考えることと同じくらい答えのないことだと思う」と話して、さらに言葉を探すように俯きました。お義兄さんは「なんとなくわかる気もする……理屈ではなく産まれながらに持っている感覚のような……」と話していました。
さらに彼は思考を巡らせるように顔をあげ窓の方を一瞥したのち「でも、自分が独り身だったときには自分に妻ができて、子どもまでできて……そんなこと想像もできなくて……」
言葉を詰まらせながら語り続けます。そして突然、隣に座る私の肩に手を置いて、膨らんだお腹を見ながら涙を流しはじめたのです。
「え?どうしたの?大丈夫?」
私が動揺しつつ、ティッシュを渡しながら問いかけると「ダメだ……涙が止まらない……」とひたすらティッシュを引き抜いては目頭にあて、彼は恥ずかしそうに涙をふき続けます。
お義兄さんご夫婦はその様子を見ながら「なんで子どもが欲しいかは言葉にできなくても、今が幸せってことはすごく伝わったね」と微笑んでいました。
涙の理由は?
その後も和気あいあいと談笑をし、日が暮れるころお義兄さんご夫婦を見送りました。2人きりになったタイミングで、あらためて涙の理由を聞いてみると「感極まって……」と照れたように彼は笑っていました。「今が幸せなんですね」と私が囁くと頷きながら、「理性や理論で考えると子どもが欲しいってなかなか思えないとは思うんだけどさ」彼がボソっと呟きます。「そうだね。私たちの場合ブライダルチェックの結果を聞いて、いるいらないの話し合いをする暇もなく、病院探しからの治療開始だったもんね。考える前に行動していたね」
当時のことを思い出します。それでも、私はあのとき行動してよかったと思っています。立ち止まって考えていたら、妊娠しようと思えただろうか?不妊治療頑張ろうなんて踏み出せただろうか?あまり自信はありません。
でも今日もお腹のなかで動いている、生きている命を感じる度に、さまざまな選択肢のなかから今を選べてよかった、と心から思います。
旦那さんが大人気なく号泣した話はいずれお腹の子にも話してあげないとな。妊娠期間も終盤の何気ない1日でしたが、「お父さんのためにもまずは2人で出産を乗り越えようね」と赤ちゃんと約束をした大切な日になりました。