水面と海底の中間ぐらいで。
昨日、かなり嫌な経験をした。
不快な思いをし、その残像に取りつかれている。
私は「くよくよしない」がものすごく不得意だ。ずっとくよくよし続ける。なかなか辛い記憶を忘れられない(30年ぐらい忘れない)。何しろ「忘れること」が不得意なので(=記憶力が良い)、記憶が記憶を呼び、特につらい事がない時でもふいに辛くなったりする。
記憶力が良いのは通常「良い事」とされている。なので「記憶力が良い」というと自慢のように聞こえるが、私のような性格の人には「不要な能力」としかいいようがない。生涯で1回ぐらいは「記憶力が良い」ことで得をしたのかもしれないが、そういうことに限って覚えていない。逆に、記憶力が良い事で辛いこと・嫌な思いをしたことはすぐに100個ぐらい羅列できる。
圧倒されるほどつらい事があって、でも忘れられないとき、人はどうやって乗り越えるのかな?
周りに数人、大変ポジティブな人がいる。本人も「ポジティブ」だと分かっている。彼らと同じ悩みを共有できないので、この手の方たちに一切相談なんぞしない。それでも時々「寝れば忘れるよ」と明るく言われたりする。
「そうですね~」とか適当に相槌を打つけれど、それだけ。
全く参考にならないのだから(苦笑)。
あともう1つ「落ち込むときはどっぷり落ち込んだ方が良いよ」というアドバイス(?)もよく聞く。
聞くたびに毎回思う。
「アナタ、ホントにどっぷり落ちた事ないでしょ?」
本気の「底」がどれだけ深く、どれだけ闇か、知らないから言えるんだなあと。
水に腰ぐらいまで浸かったぐらいの人が、安易に「沼にハマった」とか言ってはいけないんですよ。
私の場合、沼ではなくて「深海」だ。水面が見えない、その上の光も見えない、真っ暗闇なのだから。
気分転換系のことで落ち込みからは脱せないし、すぐに忘れたりはできないけれど、最近実践していることがある。
ガーンと嫌なことがあったとき、
海の底に落ちていく「重(おも)りのようなもの」を想像すること。
重りが深い水の底にゆっくり落ちていくのだけど、ゆっくり、できるだけゆっくり…と思い描く。
そしてその重りを、底まで落ちさせない。
少しだけ水面が見え、その上のキラキラ光る太陽が見られるぐらいの場所で、ゆっくりゆっくり「重り」が落下を止める。
そこからあっさり浮いてゆく姿を想像するのは辛いので、「止める」ところまで。
そこでふわふわ漂う。
下まで落ちないで踏ん張る。そこだけ頑張ってみる。
そんな想像をするだけで、ほんの少しだけれど違う気がするんです。
昨日もそう。
真っ暗闇の底にめがけて重りが落ちたけれど、途中でふわりふわり。
今日もふわりふわり。
まだ浮き上がってないけれど、ふわりふわり。
記憶がフラッシュバックしたら、「ふわりふわり」を思い出す。
「大丈夫」とか「もう元気」とか断言せず、光が漏れる場所で、今は少しふわふわ漂う。
そうやって時間をかせぐ。
そのうち心持ちも変わってくる。
私なりの時間の稼ぎ方。
明日もこれで「たぶん」乗り切れる。
「絶対」とか断言しない。
「たぶん」ぐらいがちょうどいい。
呪いの残像が消える時間を静かに浮遊しながら、待っている。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?