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第25話 あの時の会話とコロンの香り

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中ちゃんが死んでしまう半年くらい前でしたか、話した会話で後悔している話があります。

私はある夜、寝ている時に中ちゃんが肩くらいの髪の長さの女性と、楽しそうに駐車場を歩いている夢を見たのです。その女性には青いロンパースを着せてある赤ちゃんが抱っこされていました。

その話を中ちゃんにした時は、離婚からだいぶ立ち直ってこれていた時で、私は良かれと思って話したのです。ですが、中ちゃんには良い話には思えなかったんです。

「マジで?!男なの?」
「たぶんね、青かったから。」
「俺、将来、娘とデートするのが夢なんだけど?!」
「え?!そーなの??」

考えてみれば、男の子は欲しくなかったのは当たり前なのです。

彼の血の繋がっている父親は、カタギの人ではありません。いくら中ちゃんが普通の生き方をしていても、あちらのカタギでは無い世界から、足を引っ張られ続けるのです。中ちゃんは、頭も良く要領を得るのも早いです。目をつけられて当然なのです。

そんな世界から娘なら、もっと関わりなく過ごせる。そんな考えが透けて見えます。

言わなければ良かった。性別は絶対に。。
深く後悔することになりました。

雨上がりのヤグルマギク

中ちゃんが死んだと連絡を受け、2時間だけ透析をし、車で自宅に戻り喪服に着替え、電車で愛知県豊田市の彼のお通夜へ信じられない気持ちのまま行って、帰ってくる電車内で彼のコロンの香りがしたんです。

養護学校時代に付けていた、病室で会っていた時のコロンの香りでした。

思わず立ち上がって、周りを見まわしましたが見えなくて、、見えるのはだいぶ離れた席の人。
不思議に思いながら帰宅した時でした。母の大声が聞こえたんです。
「苦しい!!苦しい!!」
直ぐに中ちゃんが母の首を絞めたと、私は勘づきました。

中ちゃんは、私にくっついて自宅まで来てたんです。
その頃までに私は中ちゃんに、両親からの深い悩みを打ち明けていて、密かに中ちゃんは心底私を思って、怒ってくれていたことがわかりました。
(両親からの深い悩みについては、順を追って話していきますね。それは精神科に行かなければならなくなるほど、辛いものです)

江原啓之さんの話によれば、あの世での反省期間は自殺なら50年ほど、普通なら20年ほどと聞いたことがあります。

中ちゃんが死んでしまったのは、30歳くらいだった。まだまだ、生まれ変わることも無く、あの世で反省しながら母親を見守っていることでしょう。


大切に思ってくれてる。死んだ後も。
声が聞こえなくても、聞こえる気がします。
「華ちゃん、俺さ・・・」

涙が止まらない。

永遠に大切な人に出会えて良かったね。

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