第75話 エレンタールとの出会い
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決まって春になると絶食治療で入院するようになりました。私は18歳から花粉症なのですが、春は色んなものに過敏になるらしく、体を保てません。桜まつりに行けない年が続きます。
愛知県岩倉市の五条川の千本桜が観れないのです。その頃、私は透析病院ではなく名古屋市昭和区の名古屋第二赤十字病院に入院していました。透析病院では手に負えなくなってしまいました。病棟の廊下の窓から、外の街路樹の桜を眺めては地元の桜を恋しく思います。
どれだけそんな年月を繰り返したでしょうか。その年月にエレンタールと出会う事になります。エレンタールとは「消化」を必要としない栄養剤です。ただ吸収するのみということです。
ただ、このエレンタールは臭くて甘過ぎるんです。それを1日に4本(1本で300ccで300kcal)です。現在は使いやすいボトルタイプのエレンタールは廃止されました。プラスチック廃材を減らす為です。このボトルは潰れなくて硬いのです。
エレンタールには、様々なフレーバーが用意されています。初めにオレンジを試しました。臭いので息をしないで飲みます。とんでもなく甘くて、まったりとしたオレンジジュースです。はっきり言って気持ち悪い。挫折する人も多いようです。
他にグレープフルーツ・ヨーグルト・青リンゴ・コーヒー・さっぱり梅等あります。コーヒーは元々好みでは無いので、色々と試して結果的にオレンジとさっぱり梅に落ち着きます。
ボトルには初めからエレンタールの粉が入っていて、そこに何とか許容できると思うフレーバーを入れ、ぬるま湯を入れ振って溶かし出来上がりです。初めはクーラーの所に置いて冷やして飲んでいました。そのうち、ぬるま湯で飲めるようになります。
ボトルにぬるま湯を入れていた時でした。同じボトルを持った、ご婦人が来ました。
「あなたもなの?うちは主人が胃がんで。こんな水分ばかり。ねぇ?」
「はあ、私は腸の難病です。」
「え?!」
絶句されました。
(胃がんなんでしょ?食生活は大丈夫なんですか?私は透析もありますけど?)とは、言えませんでした。
あーーー疲れる入院生活。やってられないから、話しかけないでほしい!好き放題出来る生活がしてみたいわ!イライラしました。
こんなに大切にしてても入院だもんね。
ストレスの追加はごめんだよねー
頑張ってて偉いよ。
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