第84話 クローン病と腎臓移植
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ある日、第二赤十字病院にクローン病の悪化で消化器内科に入院していた時でしたか、1階の会計前で移植外科のU先生と会いました。
その時に言われました。
「クローン病の炎症をどうにかしないと、腎臓移植は難しいよ。」
そんな事言われても、私にはどうしようもありません。
日々食事制限をなるべく守り、それでもコンソメスープさえ吸収できなくて、10分後に水下痢で諦めて入退院を繰り返していました。
入院し点滴を開始し安全な絶食をしたら、食べなくても死なない安心感が獲られます。食べれば腹痛と水下痢なのですから。
どうにかしないとと言われても、どうにかしてもらえなくて、困ってるのは私です。ものすごく頑張ってるのに。
一緒に生活してみろ!!!
と後ろ姿に言いたくなる。
その頃、お亡くなりになった方からの善意で頂く、献腎移植の電話が日本臓器移植ネットワークから来る事があり、クローン病の炎症で断った経験がありました。
風邪をひいていても移植は出来ません。
いつでも体調万全にしていないと、チャンスは掴めないのです。
どれだけクローン病を飼い慣らしていても、暴れる時はあります。
それをどうにかしないと?!どうにかするのは、そっちの仕事だろう?
失望しました。
退院して暫くしてから、私は日本臓器移植ネットワークに電話します。
「登録を削除して下さい。」
「理由を教えていただけますか?」
「クローン病の炎症が治まらないからです。」
「分かりました。」
電話を切ってから、静かな時間を過ごしました。何の力も出てきません。
暫く親にも言えませんでした。削除したと。
意を決して、母親が台所に立っている時に言いに行きました。
「腎臓移植の登録、削除したよ。クローン病が良くならないと駄目なんだって。お母さん、ごめんね。私、先に死んじゃうかもしれない。」
「うん、うん、わかった。」
言うのに1ヶ月以上はかかりました。
逆縁だけは、、と思っても。。
何でなのかな?こんなに頑張ってるのに。
今、書いてても涙が出てきます。
私の家は本家なのですが、そのまた本家は近くにあり、その本家の長男であるタカちゃんは、血友病で10代で亡くなっています。私と同じ年齢でした。親しくはしていませんでしたが、母は病気の子供を持つ者同士として、話をしていたようでした。
ですがタカちゃんが亡くなってからは、交流は出来なくなった様です。当たり前ですよね。私はタカちゃんより入院回数がずっと多くても、手術を繰り返してても生きているんですから。
親戚が近所に多くて、私が先かタカちゃんが先か、親戚では話していた様です。お墓参りをする時は、必ず本家もお参りします。
透析だけだったら。
何個も病気あるとしんどいね。
「生きている、そこに意義がある」て夏川草介さんの神様のカルテに書いてあったね。
険しい道、あなたなら行けるんだよ。
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