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第82話 外シャント
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私は営業事務で心が折れてしまっていて、次の職場探しをしないまま生きていました。
ドライブしたり、散歩したり、でも心の充電はなかなか出来なかった。
そんな気ままな生活をしていたからか、シャント手術が多くなりました。その時に「外シャント」を経験します。
普通は左右の腕、どちらかの体内にある「内シャント」です。
外シャントとは、体外なのです。
腕の血管から透明の管が出ていて、動脈と静脈を繋いでいるんです。その管の中を血液が流れています。内シャントは針を刺して透析をしますが、外シャントは必要無いです。
ただこの外シャントは、閉塞するのが速かった。
普通の血管とは血管の内側、血管壁に余分な物が張り付くと、それが剥がれて流れていって閉塞するのを防いでくれるという、立派な機能があるんです。
ですが外シャントは、モロにそれが無い。
逆に利点もあります。閉塞しても血栓除去手術が簡単に出来る事です。体内の内シャントはメスで切って血栓除去手術ですが、外シャントは切る必要はありません。
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私は2度の外シャント造設手術をしていますが、とちらも長くもちませんでした。
酷い時は透析室で透析していると、透析回路と人工腎臓(ダイアライザー)に流れている血液が、固まっていきました。
回路とダイアライザーを交換しても、直ぐに固まり透析室で血栓除去手術をしました。
現在、お世話になっている透析病院の臨床工学技士長をしているHさんは、その時の場面を知っています。
女性なので生理もあるし、回路を流れる血液を固まらせない為の、ヘパリンという薬で生理の量も多く、夜用のナプキンが4時間でベタベタです。
度重なる血栓除去手術でみるみる貧血は進みました。
医師には手術しやすくても、患者には。。
何回輸血をしたかなんて覚えてません。ヘモグロビンの数値は4.7という最低値(正常値は11.6以上)は覚えています。歩けているのが不思議な数値で、きっと心臓は凄く頑張ってくれていたことでしょう。
回路に流れている血液が、赤くなくピンクに見えていました。
私は赤ちゃんの頃から手術で輸血したりで、献血に来てくれた人の有り難い血液で生きていられるんです。
献血の血液は、多くが癌患者さんへ行きます。薬の副作用で血液が作れなくなるからです。ですが私達のような患者にも来てくれます。
皆で助け合って生きてきている。
本当にありがとうございます。一生私は献血を出来なくて、貰うばかりの立場ですけど、こうして書くことで恩返しできたらと思います。
知らない世界でしょうから。
自分の体は自分だけのものじゃない。
親から運良くもらえて、使わせてもらってる。
一時的な感情で、投げ出していいものじゃないよね。
顔も名前も知らない人に助けられてるね。
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