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第31話 病棟に響いた声
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養護学校高等部の同級生にシンちゃんという、再生不良性貧血の男の子がいました。シンちゃんは、いつもニコニコと優しい子です。
シンちゃんは水筒に氷を入れて、学校に来ていました。冷やすのが良いのかな?よくわかりませんが、暑い日々でしたから皆が氷を欲しがります。
「僕のなのにーー(笑)」
シンちゃんは優しくて、皆から愛されていました。
シンちゃんは学校まで来ることは珍しく、体調が良ければ来ていました。そんな状態なので、来た時の授業についていくのが難しく、大変みたいでした。
「んーもう!わかんなーい!!」
「どうしたどうしたシンちゃん!」
先生も皆もシンちゃんを優しくサポートしていきます。
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大野極楽寺公園にて。
背が高い木でチビな私は撮るのが大変(笑)
そんな楽しい日々は長く続きませんでした。
病棟のナースステーション(看護師さん達の机や物品がある所)に、シンちゃんの輸血する血液が置いてある時が増えていきました。
あればどうしても見てしまいます。白い半透明の血小板だけの輸血もありました。
また元気に学校に来れるかな?頑張れシンちゃん。シンちゃんの部屋は、いつも個室で入る事がはばかられます。
シンちゃんは、ベッドサイド教育を受けていたようでした。1日に2時間程度の無理のない学習です。
ある日の月曜日、私が2週間に1度の管の交換でいない日に、他の皆と先生でシンちゃんに会いに行ってきたと聞きました。
シンちゃんの体調が良くないのです。
現代国語の小川タカ子先生はシンちゃんのベッドサイド教育で、ずっと体をさすっていたと後になって聞きました。
ある日の夜、お茶を取りに来た時でした。
「痛いよーーーー!」
シンちゃんの声が病棟の廊下まで、響いてきました。
シンちゃん頑張れ!なんて、言えない。
十分頑張ってる。
一時でもいい、代わってあげられたらいいのに。
透析は確かに辛い。針は太いし1回で入らないこともいっぱいある。7回目でやっと入ったこともあった。
でも、きっとシンちゃんより大丈夫。
シンちゃん。。
思っても、祈ることしかできません。
胸が、苦しい。
子供の頃から治らない病気と闘う厳しさ。
わかっているつもりだった。
でも理不尽だよ。こんなに痛めつける必要ある?
傍に行きたかったね。
何でも聞いてあげたかった。
命は誰でも1つだね。
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