第156話 慢性心不全と腎移植
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2023年10月
透析室で透析中に、見たことの無い循環器科の医師が来ました。
少し心臓の値が良くないとのことです。
長期透析患者が陥る慢性心不全になりました。
医師は、治験を受けてみないか?との提案でした。
ある薬が普通の慢性心不全の方々には有効なのが分かっていて、透析患者にも使えるのか?を調べる治験です。
期間は2年間。
私の心臓は、透析後半になると脈拍が下がりやすい傾向にあります。お疲れ気味です。
一度も腎移植をしないままで、33年以上も透析をしていると出てきても仕方無い症状です。
透析の血管であるシャントは、手術で太い動脈と静脈をつないであり、かなりの血流量があります。シャントが常にあるという事は、異常な血管がある為に心臓に365日いつでも心臓に負担がかかるということなんです。
現在の日本では、献腎移植(亡くなった方からの善意でいただける腎臓)の待機年数は、15年~20年程と言われています。
私は21歳からクローン病があり、一度クローン病の炎症が治まらない為に、献腎移植の登録を抹消してしまっていて、再登録し現在待機12年目です。
クローン病とは、食べ物が通る口から肛門までのどこかで、炎症が起こる難病です。
再登録する時に、待機している間に心臓が悪くなるかもしれない事は、頭にありました。
再登録する時に透析歴は既に20年でしたから。
想定内とはいえ、移植が間に合うのか心配です。
心臓がたいした症状がでないうちに移植したいものです。
献腎移植を待っている人は1万人以上いるのに、年間の献腎移植回数は200回程。
気が遠くなるような年数と確率です。
血液型が合っていればジャンジャン献腎移植が進む訳では無いのです。
HLAという白血球の型が合っていることが重要視されます。
この型が合っているほど献腎移植の腎臓と自分の体が合いやすく、移植後の免疫抑制剤も少なくすみます。
一方、生体腎移植という夫婦間や親・兄弟・親族からの移植もあります。もちろん夫婦間では型は合いませんが、現代では薬で生着率(患者の体に合っている確率)を上げられるので、夫婦間移植は、とても多いです。特に家庭があり働くことが重要な年代の方々には、夫婦間で乗り越えていかれます。
私は親から生体腎移植を断られていますし、兄と妹からもらおうとは思いません。腎臓をあげた側も腎臓が悪くなってしまい透析になる確率があるからです。透析の辛さは私が1番分かっていますから。なるべく元気に生きていってほしいです。
私は兄や妹から腎臓をもらっても、ずっと心配しながら生きていきたくないのです。だから献腎移植を望み再登録したんです。
ましてや妹は若く、未来で妊娠・出産があるかも知れないとなると、腎臓1つだけで妊娠・出産・育児をさせるのは、リスクが高すぎ私にはできません。
恐ろしいほど手術してるから、親族からはもらいたくないよね。
週3回必ず病院に通って拘束される時間。
保てなくなる体力。
知ってるほどもらいたくないよね。
心臓のタイムリミットが少しずつ来てても。
自分も周りも大切だよね。
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