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〔介護を学ぶ18〕オムツと暴言の世話ができたら超プロ

◆要介護者の暴言

介護する人(介護者)を悩ませる精神的負担の一つが、
介護される人(要介護者)の暴言かもしれません。
暴言には、理由があります。

要介護者は、体が思うように動きません。
自由に外出もできず、人と会うこともできません。
いつも自宅にいて、会うのは奥さんだけという閉塞的な環境であり、
心が追い詰められています。
つらいと言葉が荒くなってきます。
いやみや皮肉を言ったり、大声でののしったりすることもあるでしょう。

「スプーンが置いてないぞ。気がきかんな。手で食べろというのか!」
「みそ汁が熱い。わしを殺す気か!早く死んでほしいと思っとるやろ」

こんな暴言も珍しくないかもしれません。
暴言により、介護する人は精神的に苦痛を受けます。

「頑張って介護しているのに、なんでこんなヒドイことを
 言われなければならないの!」


心が折れるか、ブチ切れそうになるでしょう。

暴言でなくとも、つらくなる言葉があります。
「痛い、痛い」という言葉を聞いていると、心が痛くなります。
「つらい、つらい」と聞かされ続けると、つらーくなってきます。
「自分はもうダメだ。死んだ方がましだ」のネガティブな言葉を聞くと、
心が暗くなります。

◆感情失禁しっきんとは

失禁しっきんという言葉を聞いたことがありますか。
「失禁」には「もれる」という意味があり、
通常、便や尿が「もれる」ことをいいます。

一方、「感情失禁」という言葉があります。
「つらい感情がもれてしまう」ことを「感情失禁」と言います。

出してはならない場所で「もれてしまう」のが、尿失禁や便失禁です。
言ってはならないことを「言ってしまう」のが、感情失禁です。
つらくて、暴言やネガティブな言葉が「もれてしまう」のでしょう。

◆失禁の世話

介護では、おむつ交換など「下の世話」をしなければなりません。
尿や便の後始末は、本当に大変なことと思います。
ものすごく頑張っているのに、感謝されずに文句を言われることもあります。
そんな暴言を、「感情失禁の世話」ととらえてはいかがでしょうか。

尿や便がもれるのは生理現象です。
同じように、つらいと暴言が「もれる」のも仕方がないことです。
尿や便が出るとスッキリするように、
不平や不満も言えばスッキリすることでしょう。

便の色や硬さによって体調を推測し、食事の献立を考える。
暴言の種類や程度によって心の状態を推し量り、
謝ったり、励ましたり、ほめたりする。

そんなことができたら、超プロの介護者ですね。


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