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Wished list #8 服飾デザイナー 間野菜々江

花と暮らす方たちに、大切にしているモノのエピソードを綴っていただく「Wished list」
第8回のライターは、服飾デザイナーの 間野菜々江さんです。

服飾デザインの専門学校を卒業して、地元のアパレルメーカーに就職し、デザイナーになったのが22歳の時です。

レースを使ったナイティやランジェリーをデザインする仕事でしたが、自分が高級なレースを身につけることができる年齢でもなかったので、苦労しました。

それでも、先輩の背中を追いかけるように仕事を覚えて、だんだんとレースの魅力に惹き込まれるようになって、よく東京にも日帰りで勉強に行きました。
そして、もっといいレースが見たいなんて思っているうちに、レースの本場のヨーロッパにも行くようになっていました。

そこで、一番惹かれたランジェリーが、LILIANA RUBECHINI(リリアナ ル ベッキーニ )というフィレンツェのブランドのものでした。

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店に入る勇気がなくて、閉店後のショーウインドウを食い入るように見つめたものです。
いつかは着てみたいなあ・・なんて、夢みながら。

そんな仕事ばかりしていたわたしにも、ある出会いがありました。
同業のアパレルメーカーの男性でした。
男性なのに、レースのことにとても詳しくて、しかも楽しそうに話をする明るい人でした。

その人が、「これ僕の宝物なんだ」と見せてくれたのが、美しいスミレの刺繍が施されたランジェリーケースでした。

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一目で、LILIANA RUBECHINIのものだとわかりました。
しかも、その人は、「これ、フィレンツェのLILIANAというおばあちゃんにいただいたんだ」って言うんです。

彼も、LILIANA RUBECHINIに惹かれ、そればかりかフィレンツェまで、
「商品を売らせて欲しい」と会いに行ったそうです。
すると、LILIANAは嬉しそうに、彼にこのランジェリーケースをプレゼントしてくれたそうです。

販売も試みたそうですが、高価なランジェリーはまだそんなに日本で売れる時代ではありませんでした。

彼と出会って25年、なんだかんだと揉めながら一緒にいます。

腹が立っても、このランジェリーケースを見ると、
「まっ、いいかあ・・」なんて思ってしまいます。

わたしの大切な宝物です。

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※LILIANAに憧れて仕事をしていたころ作った、シルクのスカーフとランジェリー。その頃作ったもので、手元に残っているのはあまりないんです。

次回はこの方に。

「いつ寝てるの?」って心配しています。
香川県三豊市で<暮らしの森>ギャラリーを経営されている島崎ふみ子さん。
バイタリティーの塊で、年下の女性ですが、尊敬しています。
パワーの秘訣がお伺いできるかもしれませんので、お話がきけるのを楽しみにしています。

writer
間野 菜々江(Nanae Mano)@nanae_mano
服飾デザイナー 

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「2015年に、岡山県赤磐市に「音の絵」というアトリエを作りました。
古い刺繍レース織機を使って作っていただいたオリジナルのレース布を販売させていただいております。」

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「布をカットしたり、時々、洋服のオーダーも受けています。
自分がデザインしていた頃よりも、レースや布を買ってくださったお客さまが、どんな物を作ってくださるんだろうと、心待ちにすることが増えました。
アトリエでお客様を待つ合間、庭の手入れをする日々も気に入っています。」
著書『夜中にミシンを踏みながら』(吉備人出版)


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