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新しい生活様式における新しい芸術の可能性 ~劇団ノーミーツ【門外不出モラトリアム】~

公演終了後の、何とも言えぬ高揚感。

非常に興奮していた。

何か新しいもの(新しい''文化''と言ってしまっても良いかもしれない)が生み出されたその瞬間、その現場に居合わせることのできたという興奮。

5月23日土曜日、21時からの劇団ノーミーツによる旗揚げ作品【門外不出モラトリアム】を自宅にて観劇した。

SNS上での話題もあり、何か新しい芸術の可能性を切り開いてくれるのでは、という期待から、当日の16時にチケット購入。

期待は的中した。

あらすじについては、上演を見てこそのものだと思うので、割愛する。

映像作品、という意味では、ドラマや映画と共通するが、その同じ時間に日本のどこかでこの作品を演じ、作っている人たちが存在している、というその場限りの【限定性】という意味では紛れもなく舞台芸術そのものであった。

舞台芸術における双方向コミュニケーションとは、役者と観客の「時間」と「場所」の共有だと考える。今回の場合、時間の共有による緊張感は味わえたが、場所の共有はもちろん不可能だ。新たに用意された双方向コミュニケーションのツールは「チャット」というものだった。これは、役者と観客のみならず、観客同士のコミュニケーションツールともなり得る、「場所の共有」に代わりうる新たな手段であった。(そして、上演のみに集中したい人は、チャットを非表示にすることも可能である。)

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今回のこの実験的作品は、新しい生活様式における新しい芸術の可能性を切り開くものになるかもしれない。

いつの時代の芸術も、既に存在する芸術に対する抵抗であったり、またその時代の政治情勢であったり、そのようなものを反映して新たな様式が生み出されてきた。

このオンライン上での演劇というものも、この時代にこそ生まれた芸術であり、一つ文化の誕生である。

明らかに今までと異なり、世界に暗い影が落ちる今、これまでと変わらない暗い道をそのまま進むのではなく、新しい道を探し求めるエネルギーを持ち、その先に生まれる新しい「何か」に対する希望を、この実験的作品の中に見ることができた。

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