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一般企業で働くことと教育公務員として働くことの違い

その後、私は小学校教員として働くことになりましす。立場は常勤講師という立場で、正規教員と同じ時間や待遇だけれど、契約期間が決まっているという立場です。要は、契約社員の先生版みたいなところです。

一般企業と教育公務員は大きく違いました。何が違うかというと、以下の点です。

一般企業
・数字、売り上げが求められる
・納期に厳しい
・即結果が求められる
・短期決戦
・言われたことをやり使われやすい人になり、立場を考えて動ける方が評価される
・よりよい方向にどんどん変化させていく
・実力主義
・本当にいろんな人がいる

教育公務員
・真面目さと優しさと強さが求められる
・納期に甘い
・結果は十数年後
・子どもの教育も人材教育も長期目線
・学級経営やイベントに関しては自分の創意工夫を活かせて、自分で決めることができる
・学習内容は学習指導要領に沿うので、基本10年は変わらない
・年功序列
・基本的にみんな真面目で優しく礼儀正しいが、プライドが高く負けず嫌い。
・学ぶことが好きで、バイタリティーがある人が多い

時代が進むごとに、教員の企業研修ができたり、企業の評価制度みたいなものが教員の世界にも取り入れられたりして、同じようにしようとする風潮がありますが、私は世界が違うのだと考えます。

企業は物を売ることで利益を生み出す世界、教育は人を正しい方向に導き育てる世界。求めるものが違いすぎます。そもそも同じようにしようというのがおかしいと思います。

でも、しばらく一般企業で働いてから教員の世界に入ったので、24歳で尖りのピークだった私にはすごくぬるくも見えて、納期を守らない姿勢に苛立ったり、いちいち違いに腹を立てていました。

当時、完璧主義の主任がいて、私はとても尊敬していたのですが、すごく悪態をついていました。職場の飲み会の日、主任はいつも俺が俺がで最低ですねとみんなの前で言っていたことを今でも覚えています。そしてある日学年便りを私の番の時に先に作ってくださったのですが、私は自分がすごくやりたかった仕事だったので取られたことに猛烈に腹を立ててなんでやってしまうのかと罵倒した気がします。

主任は本気で私の扱いに悩んでいました。今思うと申し訳ない思いしかないですが、仕事にすごく一生懸命すぎて回りの心配を汲み取れなかったです。成績の所見欄も、まさかの主任が書いたものに私が赤を入れていました。我ながらすごい20代だったなと思います。許してくれていた周りの先生方の温かさが今は身に染みます。代わりに私は頑張る20代の方々をそういう目で見ようと思っています。

仕事は大好きで、土日も両方とも仕事に行くくらい仕事人間でした。ストレスの発散は相変わらず下手で運転中によく泣いていました。でもこの頃関わってくださった先生方とはとても仲良くなり、職員旅行を楽しんだり、みんなでダイビング旅行に行ったりしました。

中でも音楽発表会の指導がとても好きでした。学年の音楽の先生についてサポートをさせていただき、市の音楽発表会では指揮をさせていただきました。音楽の指導については子どもたちにも憧れをもたれていたようで、私も楽しかったです。

卒業式の音楽指導は1番好きな仕事でした。本気で子どもと向き合い、自分の期待を超えた合唱が返ってきた時は、魂が震えるほどの悦びを感じました。最高の時間で、自分はこのために生まれてきたんだと思うほど感動しました。私の教員人生の中で、魂が震える経験はこのたった1回でしたが、本当に素晴らしい体験で、仕事をするたびにこの感覚をいつも求めて指導していました。

合唱指導に燃えていたので、5年くらいは毎年箱根合宿に行っていました。一流の先生から学ぶことを大事にしていたので、CMでも一時期有名になった「旅立ちの日に」を作曲した松井孝夫先生や、小学校の音楽の教科書にたくさん曲を載せている橋本祥路先生などが講師をされていた合宿形式の合唱指導研修です。新曲を仕入れて音楽発表会で演奏していました。

「サッカー大好き」という合唱曲を扱った時は、合奏曲をアンセムの曲にして、楽譜を携帯の着メロから起こして合奏曲用に作り、合奏曲で入場してから、途中にユニフォームを来た子どもたちがセリフを入れて、最後に合唱という形で舞台を作りました。サッカーが大好きな学年の男の先生たちと一緒に作った舞台で、ベテランの音楽の先生がこの曲の楽譜を使いたいと言ってくれた時は、自分の功績が認められた気がしてとても嬉しかったです。

小学校だったので、担任が全教科を教えるのですが、私は音楽専門であったこともあり、担任外で音楽の授業を教えることも多かったです。担任になると残念ながら全体の時数や主要教科の授業進度により、音楽は削ることも多く、思う存分指導できませんでした。

そして、燃えてはいた音楽指導でしたが、自分が専門であるだけに、意欲的な子を引っ張っていくことはできましたが、わからない子への指導は下手でした。なんでこんな簡単なことができないんだろうと思ってしまうからです。代わりに全然指導の仕方がわからなくて事前準備を入念にやっていた書写の指導や理科の指導の方が、子どもの目線に立った教え方ができ、わかりやすかったようでした。

自分ができることと人に分かりやすく教えることができることはまた別なのだと学んだのでした。教員は毎日が学びで1日として同じ日や同じ作業をする日はありませんでした。あらゆる教科の指導をし、あらゆる子どもと触れ合いました。好奇心旺盛で飽き性の私には、毎日刺激がいっぱいで結構向いていた職業でした。

教員には立場がいくつかあります。非常勤講師、常勤講師、正規教員です。私は全て経験しました。次回はそれらの違いについてお届けします。



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