どろっぷ

葉山まで僕は彼女を連れてドライブに来た。夕日が海に沈もうとしている瞬間を車から眺めた。キラキラキラキラキラ 波は優しく踊っていた。夏がどこかに溶けて、秋が日を食べていく。僕は運転に疲れて少し眠たくなった。凛子は車の窓を開けた。風は冷たく、肌に染み込んだ。日の光が眩しい。

「眠くない?ちょっとどこかで休もうよ」

「そうね、どっかある?この辺りなかなか何もないね」

彼女の赤い唇が光を反射して、整った横顔は、なぜか僕を寂しくさせた。細い道へ入ると、『レモンパレード』と派手な塗装の看板が見えた。僕は無言でレモンパレードの駐車場に入った。彼女も無言で脱いでいたミュールを履いた。

部屋に入ると、壁は毒々しい紫色で、どこがレモンなのかまったく理解できなかった。凛子が不思議なマシーンをみつけた。部屋の角に置いてある小さな販売機だ。

『ドロップあります。幸福ドロップ、悲しみドロップの2種類を扱っております。1ケ 1000円』

続け


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