北海道ぼっち旅 ~とにかく馬を見て、乗って、癒されてきた話~ 1日目
【注意】
多くの牧場さまのご厚意にあずかって旅させていただきました。
無断での訪問・見学は厳禁です。訪問の際は、競走馬のふるさと案内所 さまの案内・注意事項を必ずご確認ください。
よりによってこのタイミング(23年7月8日)で、引退馬に無断で触れている写真をTwitterにアップする人物が出ており、界隈で騒ぎが大きくなりました。こんな記事を読んでくださってる方は何も問題ないとは思いますが、時期が時期ですので注意喚起をお許しください。
4日間の旅のまとめです。↓の続きです
北海道ぼっち旅 ~とにかく馬を見て、乗って、癒されてきた話~ 0日目
旅行から帰ってもう3週間以上経ってしまった。記憶が鮮やかなうちに書きたいなんて言ってたのは誰だったかな……このまま書かないでいると本当に書きたかったことを忘れてしまうので、とにかく旅行記は最後までなんとか上げたい。
人間、ほんとに楽しいことは思い出に残ればいいとも思うんだけど、こうして思い起こして文章にする作業で記憶には定着しやすくなるハズだ。次はさらに良い旅にするためにも。
あー、もう北海道行きたくなっとる。
1日目
千歳ー日高ー新冠(23年7月4日)
この日から本格的なウマ旅に出発。
0日目にちらっと書いたが僕はペーパードライバーであり、初めて借りるカーシェアに悪戦苦闘した。
この旅のために一度実家に戻って練習していたのだが、同じ日産の車を借りてもシフトレバーやサイドブレーキの位置って全然違うんだなぁ。説明書がなかったら走り出せなかったんじゃないか?
それと、エンジンブレーキのかかり方が違う。アクセルを離すとものすごい勢いでガクッとスピードが落ちてしまい、慣れるまで苦労した。後ろを走っていた地元のドライバーさんには迷惑をかけたと思う……。
なんだかんだで当初の予定よりすでに1時間以上押してしまい、かなり焦りながら日高地方へ向かう。
天気も景色も最高のロケーション。海沿いを走るのが楽しくてついついアクセルを踏んでしまう。
感動したのが、日高道を降りるともう道路のわきが牧場だったこと。時期的に仔馬がお母さん馬といっしょに放牧されていて、可愛さに思わず声が出てしまった。
最初の目的地はYogiboヴェルサイユリゾートファームだったのだが、搭載のカーナビが型遅れだったらしく施設名称で入力すると移転前の住所が登録されており、とんでもない大自然のど真ん中で案内が終わってしまい途方に暮れた。住所を直接入力で入れ直し、何とか辿り着いたのだった……
Yogiboヴェルサイユリゾートファーム
ウマ旅の最初の目的地。
去年引退したばかりの障害絶対王者オジュウチョウサン、<薔薇一族>のジャパンC勝ち馬ローズキングダム、天皇賞馬のヒルノダムールなどなど、いきなりGⅠ馬だらけである。
Yogiboといえば人をダメにする、もとい馬をダメにするソファでアドマイヤジャパンさんがタレント契約したのが記憶に新しい。ウマ娘ファンとしてはタニノギムレットがいるところとして有名かな。
アドマイヤジャパンやスカーレットレディ、レディアイコなどは大放牧地にいたようで、会員になると中に入れるらしい。
Googleマップの宿泊レビューにはトレーラーハウスに泊った方のものがあり、朝は目の前で馬たちが草を食んでいるのを見られるそうだ。次のプランはこれで決まり。
ここでは馬用にんじん(300円)以外のものを食べさせることは禁止。また親子馬に触ること、オジュウチョウサンににんじんをあげるのも厳禁である。Twitterにも書かれているのにあげちゃったり、Yogiboクッションを放牧地に押し込む人がいたらしい。絶対やめようね。
今回のウマ旅ではかなり近くで馬を見せてもらう機会もあったけど、特に撮影の際は注意した。
僕が蹴られるくらいならいいのだけど、例えばお馬さんがスマホをもぐもぐしてしまったらシャレにならない。冗談じゃなく僕のクビくらいでは済まないのだ。近すぎず遠すぎず。
放牧地が隣り同士のローズキングダムとタニノギムレットは見つめあったりしてとても仲が良さそうだった。
放牧地はとても奥行きが広く、また馬たちは基本的にずーっと草を食べてるので、写真を撮りたいときは気まぐれで近くに来てくれたところを狙うしかない。にんじんを持ってると結構来てくれるんじゃないかと思ってたけど、この2頭はこの時間眠そうであった。それでもあげることはできて満足。
少し離れた放牧地にも何頭かいるのだけど、近くまで来てくれたのはこのスイーズドリームスさんだけだった。めっちゃかわいい。
オジュウチョウサンさんは残念ながらあまり近くには来てくれなかった。ときどき貫禄たっぷりにぐるっと放牧地を1周してくるところをズームで撮る。鹿毛も現役並みにツヤツヤでかっこいい。引退レース中山大障害、観に行きましたよー。
大放牧地を見ながらものすごい声でいなないていたのが印象的だった。仲間に入りたかったのかな?
なにがなんでもクローバーを食べたいヒルノダムールさんは柵の下から首だけ伸ばして横向きに草を喰う。かわいい。
ここにはカフェも併設されていて、大放牧地を見ながら食事もできる。またオジュウチョウサンのグッズや馬装も展示されていた。ちなみに木曜日はお休みということをフォロワーさんに教えていただいて、旅程を無駄にせずに済んだ。
本当はここで腹ごしらえのつもりだったけど、想像以上に馬と触れ合うのが楽しすぎて全然余裕がなかった。近くに寄ってきてくれる子は本当にかわいいし、自分の手ずからにんじんを食べてくれるのがものすごくうれしいのである。
コーヒーのオジュウブレンドだけ飲んであわただしく出発。ぼっち旅はいくらでも時間の自由が利くのがいいとはいえ、油断していると時間があっという間に過ぎてしまう。
日高町の次は新冠町へ。余談だが上記地図のタイムライン、新冠町から左折した道はサラブレッド銀座という通りになっており、道の両脇が牧場で馬が放牧されている。ちゃんと1丁目から看板が立っていて面白かった。
ビッグレッドファーム明和
ビッグレッドファーム明和は現役の種牡馬を見学することができる超豪華な牧場さんだ。
言わずと知れたゴールドシップ、香港カップGⅠ勝ち馬ウインブライト、シンガポール航空国際C勝ち馬にして道営の大スター・コスモバルクなどがいる。
撮影の時はなるべく無口の馬名を撮れるように頑張った。
ちなみにハミを固定するための↑の革製馬具を頭絡(とうらく)といい、ハミがないものを無口あるいは無口頭絡というらしい。
ゴールドシップさんはやはり大人気で、平日昼間にもかかわらずたくさんの人が写真を撮りに来ていた。0日目の記事に乗せた写真はすぐ近くまで柵をかじりに来てくれて、鼻息荒いゴールドシップを動画に収めることができた。楽しい。
イギリスから来た新種牡馬、ベンバトルさん。今年生まれたメーヴェお母さんの2023の父でもある。全然人を恐れず貫禄たっぷり、よくいなないていた。メロディーレーン・タイトルホルダー姉弟の妹、デビューが楽しみですね。
ウインブライトさんは実にクールなイケメン。人にファンサもあまりせずに空を見て黄昏ていた。
そして一番会いたかったコスモバルクさんである。
ホッカイドウ競馬所属ながらJRAの重賞を何度も勝ち、ついには海外GⅠ制覇というまさに道営のエースなのだ。シンガポール航空インターナショナルカップGⅠ勝利は、地方競馬所属馬として初の国際GⅠ勝利でもあった。
いまだに身体ツヤツヤ、お尻パツパツである。かわいい。
残念ながら、悪い意味で最近名前がトレンドに上がってしまった。触らないよう明記されている牧場さんで馬に触るのはやめようね。
ぐるっと1周して1時間半弱、次は乗馬体験へ。
にいかっぷホロシリ乗馬クラブ
今回の旅は、タイトルの通り馬を見るのと乗るのが大目的だった。北海道には僕のような超初心者でも体験乗馬できるクラブがたくさんある。最後に馬に乗ったのは小学生の時の引き馬じゃなかったかな。
にいかっぷホロシリ乗馬クラブ さんでは引退した競走馬、しかも重賞勝ち馬に乗せてもらうこともできる。
僕が予約した時間にはお客さんがもう一人いたのだけど、2頭いるうちどちらに乗るか選ぶとき、インストラクターさんが「競馬がお好きなら、この子は重賞勝ってますよ~」と教えてくれた。
スギノエンデバー(父:サクラバクシンオー)は2012年北九州記念GⅢの勝ち馬、ロードカナロアと同期でスプリント戦線を戦っている。58戦も走ったえらいお馬さんだ。ちなみにもう1頭はアポロソニック(7戦2勝、ダービー3着)というこちらも優駿。
体験させてもらったのはもちろん初心者むけの体験林間コースである。とはいえ、森林の中をゆったり30分くらい歩けるので満足感がすごかった。インストラクターさんの馬に続いて、アポロソニック・スギノエンデバーの順番で3頭縦並びで森の中をゆく。
ところで、この乗馬クラブではインストラクターさんがお客さんに呼びかけるとき、人ではなく馬の名前で呼ぶ。だからアポロさんとスギノさんだ。基本的に重賞経験のある馬は、ゆったりマイペースで歩くことが多いらしい。
だが、このスギノさんはちょっとどころではないマイペースであった。
めっちゃ道草喰うのである。
こちらは手綱を握ってるので、スギノさんが立ち止まって首を伸ばし草を喰うたびにグインッと引かれ、前につんのめりそうになる。これが10回以上続く。アポロさんはすごいお利口さんでまじめに歩いてるのに。
帰ってからゆっくり草を喰えばいいじゃないか、と思ったけど、普段は乾いた草しか食べられないので、たまに森を歩いて新鮮な草を食べるのが楽しみなのだそうだ。なるほど。
…………。
乗馬は初期費用も継続費用もかなりかかる。でも一人で乗れたら気持ちいいだろうなぁ。
時間も相当押してきたので本日のホテルへ。
エクリプスホテル タイトルホルダーコンセプトルーム
エクリプスホテルさんは競走馬のコンセプトルームを企画してくれることで有名で、過去にはアプリ ウマ娘のeclipse割 なるものがあったらしい。僕も使いたかった。
0日目に書いた通り、僕は現役競走馬の中でタイトルホルダーが一番好きだ。23年の日経賞で8馬身差大楽勝を現地観戦して、「やっぱり君が最強だ」と叫んだ。そして天皇賞春も現地で連覇を確信しながら見ていたけど、4コーナーで下がっていく彼を見て「嘘だろ……」と呟いて12Rが終わるまでその場に突っ立っていた。これを書いている最中に復帰がオールカマーになると発表され、その日のうちに有休を申請した、そのくらい好きなのだ。意味不明。
とにかく、こんな部屋があるならば泊まらないわけにはいかない。
ベッドもタイトルホルダー。
カーテンもタイトルホルダー。
壁紙も、クッションも、装飾もぜんぶ全部タイトルホルダーである。
部屋には22年グランプリ宝塚記念の優勝レイもあり、この機会を逃せばいつ見られるか怪しいものだった。
この部屋はネットで泊るところを探していたら偶然見つけたところであり、もし知らずに旅を終えてしまっていたら相当後悔したに違いない。しかしこのような部屋ができるほどファンが多い馬だということを改めて実感できた。やっぱり僕はタイトルホルダーが好きだ。とにかく無事に復帰してくれることを心待ちにしている。
夕食はホテルのレストランでゆっくり堪能し、濃厚な1日目が終了した。明日は日高・新冠から一気に浦河地方へ向かうため、早めに就寝した
……い、ところだったが、いつの間にやら首筋を思いっきり日焼けしてしてしまっており全然寝れなかった。いくら本州に比べて涼しいとはいえ直射日光を舐めてはいけなかったなぁ。
タオルを冷やして取り換えまくり、何とか腫れを引かせて就寝。明日も濃厚なウマ旅である。
→2日目に続く(まだ)