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目について

昔から視力だけはよかった。

社会人になってからも両目1.5ずつあって、見えない苦労というのを知らないでここまできた。

去年の健康診断でも1.2はあった。

それなのに、最近やけに遠くがかすんで見える。
自分に近づいてくる人の顔が、メニューの値段が、いろんなものがぼんやりとしている。

考えてみたら、今年に入ってから仕事に対して熱心になり、しっかりと文章に目を通すようになったり(今までは雰囲気で読んでました)資料作りに勤しんだり、読書をしたりと目をきちんと使うようになった。

いままで目が良かったのは、何もちゃんと見ていなかったからなのかもしれない。

目は大事にしなさいとよく言われてきたけど、かすんで見えることのメリットを見つけてしまった。

それは"緊張がゆるむ"ということ。

わたしは人の表情の細部などが見えすぎて、気にしすぎて、リラックスして話せないことがよくあった。

それに、混雑したアーケードの中で遠くにいる元彼と不倫相手を見つけるのもずば抜けて早かった。

視力の良さが裏目に出ることが度々あったのだ。

贅沢かもしれないけど、ちょっと見えないぐらいがわたしにはちょうどいいのかもしれない。


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