すべてはnoteから始まった ー ジュエりんご誕生まで
産声をあげたジュエりんごは、noteではじまり、noteで繋がっています。
🍏はじまり
はじまりは『あなたに合うのはどんな石?』という、宝石鑑別のディプロマを活かして石を3種類ご紹介するサービスのモニターを3名様募ったとき。お2人目でまゆきち☆さんが応募してくださいました。
結果、ご提案した石はこちらです。
なのですが、3つでは収まらないのが常。だって、世の中に広めたい石が沢山あるんですもの!というわけで、勝手にオマケをつけてご紹介したのがクリソプレーズ、「宝石界の青りんごや~🍏」でした。
いま思えば、この時にりんごの種を蒔いたのですねぇ。
🍎いつかコラボしたいという想い
一方、広義では同業かもしれませんが、銀座にお店を構えて(この時点で比べ物にならないという……)オーダージュエリーを手掛けるA.C.T.Y. plains GINZAさん。
狭義では私は制作やデザインの必要部分は習ったものの、メインは石です。デザイン、プロデュースはしますが、制作は職人さんにお願いします。それで以前も宝石業界はあまり競合しないなんて書いたわけですが、ACTYさんにお邪魔した時に、いつか一緒に面白いことを出来たら良いですね、と言ったことを覚えています。
🍏芽が出て育つ
りんご好きのまゆきち☆さんからご連絡を頂いたのがこの記事の後のことでした。
そうです、絶対可愛いと思うのですよ。早速調査を開始しましょう。
その前にイメージを確認しました。丸々りんご(立体)か、半面りんご(カボションのハートカットに似た形)か。ご希望は立体でした。そうですよねぇ、小さいりんごが胸元に下がっていたら可愛いですって。
さ、向かうは古巣、ジュエリータウンおかちまちです。
🍎石がない!?職人がいない!?
ところが、早くも壁にぶち当たります。
「クリソプレーズ?最近良いのが入ってこないねぇ」
なんですと!?カット以前の問題ですか?
カットも手がける馴染みの問屋へも行ったのですが
「ウチは旋盤しかないから(平面を削る用ですね)立体、特に凹んだところは無理だなー」
彫刻されたクォーツを店頭に飾っているお店でも聞き込みしました。
「ウチは中国で彫刻してもらってるんだけど、コロナで閉めてる工場が多くてね。甲府の職人ならできる人がいるけど……〇〇さんとか、まあ高齢化してるよね」
その〇〇さんは私も存じているくらい有名な方ですので、高くつきそうですなぁ。
この日の収穫は、自分の手持ちのカボションのクリソプレーズをリカットすれば、半面のりんごは可能とわかったことです。
立体りんごで難しいのは、石に穴を開けてくれる人がいないことです。これは今に始まった話ではありませんが、ドリルで開けようとしたら割れますからね……。
ヒトの石を預かって割れたら大変ですから、まず引き受けてくれません。そう考えると、穴開け込みでやってくれる人を探すしかないのです。
この翌週が東京ミネラルショーでしたので、久々に池袋へ参戦。
ここで取り急ぎ、立体りんごカットのできる工房は見つかりました。ホッ。
会場を見回すと、クリソプレーズという札があっても、青りんご色というよりは、色の濃いグリーンのものが多かったです。あの色だと私はクリソプレーズではなく、同じカルセドニーの他の変種名をつけるかなと思います。
🍎実現可能か考える
今の条件ですと、
・立体だったら→石さえ入手できればあとはパーツでいけそう
・半面だったら→地金・工賃次第、ハートの空枠を使えばいけるかな
といったところ。
パーツを探しがてら各地で相談してみました。
上部に開けた穴にサシコミというパーツを刺して接着するのはよくあること、バチカン(チェーンを通す部分)付きのサシコミなんて便利なものもありますので、これでいけそうです。
とあるパーツ屋さんで葉っぱのパーツがあるか聞いてみましたら、ありました。石とのバランスが合えば使えそうです。葉っぱがあると可愛いと思うのですよね。
このままでも”一点もの”を一度限りで作ることは可能でしたが、年末ご挨拶がてら……という感じで私はACTYさんにアポを取ったのでした。
🍎痛いところを指摘されつつ、希望の光
サシコミ+接着で怖いのは、石が落ちること。それを指摘されました。
そうです。外れるだけならまだしも、外れてこのお高い石がコロンとどこかへ行ってしまうとかなりのダメージです。
ただ、穴を貫通させるとまた工賃が……とぼんやり思いました(後で聞くと、工賃3倍でした。予算オーバー……)。
脆い希少石では安全のため接着を併用することはありましたが、あくまで補助。幸い、自分が持っていた接着と思われるものも外れたことはありませんでしたが、さすがにそこは扱いの多い方。修理で持ち込まれた中にも、どうしてこんな風になったのだろうと思うような状態のものがあったそうで、結局のところ自分の手を離れてしまうとどうなるかわからないのですよね。
穴貫通で作れるかどうか、知り合いの石屋さんに聞いて頂けることになり、年末ギリギリに「できそう」「サンプル研磨の発注をした」旨、ご連絡を頂きました。
穴が貫通していれば、上から下まで留めることができるので、石落ちの心配はなくなります。祈る気持ちで連絡を待ちました。
🍎イケる!可愛い!どうしましょ
サンプルの石が届いたと連絡があった日、ちょうど休暇を取っていましたので、用事を済ませてからいそいそと向かいました。
穴なし、片穴、貫通と3種類のサンプルが届いていました。
産地的に緑が濃いかと予想していましたが、青りんご色でした。赤で頼んだものはカーネリアンがきましたが、この位の色だとカーネリアンも良いですね。鑑別では紅茶の色と習い、茶色い石が多かったですが、今回はアップルティーということで。
この際、もう少し個数を作ろうということになり、ペンダントにするためのパーツはシルバーで原型を作り、ゴム型を取って鋳造することで地金のバリエーションが増えました。
🍎完成
完成までの間に、BASEやらメールやらInstagramやらショップ用のアカウントを取ったり、決め事を決めたり、必要資材を準備したりと忙しい日を送っていましたが、本業のストレスはこの楽しさで解消されていた気がします。
そして、ついに完成しました。
🍎謎の自信
良いクリソプレーズが無いとか、そんな(立体の)研磨はできないとか聞いても、意気消沈せずに爆走を続けた裏には、謎の自信がありました。
御徒町とミネラルショーで見つからなければ、4月の甲府のジュエリーフェアかなと思っていました。まさか甲府で見つからないことはないでしょうけれど、そこでダメならツーソンで買ったことのある業者のうち、できれば東京のミネラルショーに来る人に聞こうかなとか、スリランカ人に本国で誰かいないか紹介してもらえるかなとか、まだ打つ手は尽きていないと思ったのです。世界レベルでできないわけありませんから。
それで恐ろしく費用が高くなってしまうなら、その時はその時。「できない」と「買わない」は違いますからね。
あちこち奔走はしましたが、良いタイミングでサクサクと進んでいったので、これはイケる!とまた謎の自信を持ったのでした。
🍎最後に
石は一期一会です。りんごなのにイチゴ一会なのは置いておいて、ピピッときたらその出会いを大切にして頂きたいと思っております。
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