【オーダージュエリー】スターダイオプサイドのペンダント
ここから3回は同じお客様です。コロン、つるんとした石がお好きなのですね~というラインナップをお楽しみくださいませ。
この石はTucsonのインド系ブースで購入したダイオプサイドで、スターの出るものです。
「シリマナイトのキャッツアイ!」
「こっちはスターのダイオプサイドだよ!」
とGIAのクラスメイトときゃぴきゃぴ見ていましたら、店主に「GIA?」と聞かれましたっけ。
アステリズム(スター)は通常4条で、73°/107°で交差します。1本が太く、もう1本が細いです。6条のこともあるそうですが、私は4条しか見たことがありません。
1㎡から出店できるイベントスペースに不定期で宝石店を出していた時、「色々な面白い石」のコーナーにこの石も置いていたら、目を留めて頂いたようです。その日は「加工するならペンダント向き」という話だけして、後日ご連絡を頂いて改めて打合せをしました。
爪留めはしたくない、地金もあまり見えないようにとのご意向でした。ところがですね、ダイオプサイドはクリベージ(※)が「2方向完全」、つまりスパコーンと割れる方向が2方向もあるのです。ふくりん留めは危険でしょう。
しかし、あの手が使えるかもしれません。あの手とは……これ!
同じ加工屋さんに出したので「この間のアレと同じように」で、話が早かったです。そして、取りに行ってビックリでした。
予想より地金が低く巻かれていて(底からの立ち上がりが低い)石が際立ちます。
ペンダントの場合、チェーンを通すバチカンという金具が必要です。これを使うとチェーンが替えられるという利点がありますが、そこそこの存在感があります。
一方で「はめ殺し」という手法があります。ジュエリー用語は時として物騒ですね。
金具を外したチェーンを丸カン(丸い金具)に通して、また金具をつけます。丸カンはチェーンが通るだけの直径があれば大丈夫です。バチカンを使う時の丸カンは正面が〇になる向きですが、はめ殺しの場合は横からチェーンを通すので横から見て〇の向き、つまりジュエリーを装着した状態の正面からはほぼ線に見えるので目立ちません。
石を際立たせたいということはバチカンも邪魔だろうと、お客様とは「はめ殺し」の方向で話をしていましたが、加工屋さんに伝えるともっと良いものが出ていました。
丸いボールの中にシリコンのストッパーが入っていて、長さを調整できるチェーンです。その先に棒があり、その部分がボールから抜けるのです。板ダルマという下の写真では一番上にある板状の金具を通さなくて良くなったので、バチカンも要らない上に丸カンも最小限で済みます。
余計なパーツを使わなければ、その分の地金も減るので料金も下がります。何よりシンプルです。
思った通りのイメージで石の丸みが生きている、とのご感想でした。
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