学校再編地域検討会議を傍聴してきた
今年7月、旭市内の旧干潟町地区にある3つの小学校では、各学校ごとに地域住民が集まり、学校再編について話し合う地域検討会議が始まりました。
旧干潟地域は特に児童数の減少が著しい地域となる為、旭市内の中で先駆けて学校再編についての話し合いが始まる地域となります。
今回その3校の初回会議に私も【傍聴人】として参加してきました。
旭市の旧干潟町地区ってどんなところ?
市民の方はご存知の方が多いと思いますが、現在の『旭市』は平成17年に元々の旭市と周辺に隣接していた海上町・飯岡町・干潟町が合併して今の形になっています。
上の地図は市内を現中学校の学区を色で分けたものになりますが、第一中(白)・第二中学区(赤)となっているのが元々の旧旭市、その周辺に位置するそれぞれ中学校区(青・黄・緑)がそれぞれ旧町のエリアになります。
その中でも地図の北側、水色のエリアにある旧干潟町は、江戸時代には『椿の海』という大きな湖を干拓し、干潟八万石と呼ばれるくらいに稲作農業が栄え、今もなお広大な水耕田がエリアの南側に広がる地域です。
現在の干潟中の北側には、世界で初めて農協の仕組みを作ったと言われる大原幽学の記念館があるなど、歴史が深く残る地域ですが、一方で人口減少が著しく、令和3年には千葉県内では全13か所ある過疎地域のひとつに指定されています。
始めに述べた通り、現在旧干潟町のエリアは小学校が3校あり、この3校を1つの小学校に統合することが地域検討会で話し合われる大きなテーマです。
地域検討会議って?
学校再編についての話し合いは実のところ7年前から始まっており、
平成28年度「旭市学校のあり方検討委員会」設置
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令和元年度 「旭市学校再編計画策定委員会」設置
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その後、今後のあり方を見据えた具体的な計画案を作成
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その計画案をもとに現在『旭市学校再編基本方針』が完成
と、あるように、これまで市内全域についてを教育関係者、代表住民を交えながら長い期間をかけてたたき台を作り終えたというところで、万一ここまでの流れを知らないで地域検討会に来たとしたら、『学校再編の検討会議と言いながらもうどの学校がどうやって合併するのか検討終わっているではないか…』と、感じてしまうと思います。(以前からホームページ等で公開されていたとはいえ会議資料は当日配布だったようです。)
令和元年に立ち上がった学校再編計画策定委員会については、会議録が公表されていますが、市内全域とはいえ市内の学校と近隣市で再編をすでに行った学校等の視察等も行い、深く議論が交わされ、しっかりと策定された計画案だということが伺えます。
市内全域についてはっきりとした学校再編方針を出した後、今度は実際の地域ごとにはかる。といった流れとなるのは納得できる一方で、これだけしっかりと作り上げた再編の基本方針があるにも関わらず今から何をこの地域会議で検討できるのか?と感じる方が多いのではないかとも思いましたし、実際にそのように意見される委員の方もいらっしゃいました。
単純に地域のお墨付きをもらうための名ばかり検討会議とならないように、市の担当者に求められていることとして、この地域会議に至るまでの経緯や現在の方針となった根拠、それ以外の方法を方針としなかった理由やもしそちらを選択した場合に考えられるデメリットなどを丁寧に説明した上で具体的にこの会議ではどのようなことについて意見を出して話し合ってほしいのか示すことが必要だと思いました。
3校すべて傍聴してきた感想
地域検討会に呼ばれた委員の皆さんはPTA役員保護者はじめ、学校やその地域に深く関わる方々。
それぞれの地域の子どもたち・住民にとって不利益がない統合となってほしいというのが3校共通して感じられたことに加え、
旧干潟町で小中一貫校を作ってほしいという意見が出るなど、旭市に合併後18年が経つとはいえ、引き続きに旧干潟町のアイデンティティのような意識は変わらず残っていることを感じました。
しかしながら、先にあげたように何を検討できるのかそこがはっきりとしないために、例えば基本方針には全くない方法(例:小中一貫校や、方針にはない小学校との組み合わせでの再編など)が良いのでは?と委員が意見を出したところで、それがどこまで方針転換可能かも分からないままなのは聞いているこちらもモヤモヤしてしまうものでした。
そして、立地や微妙に文化も異なる3校それぞれに重きを置く課題は変わり、事前にとられた保護者アンケート等では読み取れない各校ごとの想いがよく感じ取れた会議でした。
初回は委員一人ひとりから現在の率直な意見を述べるまでに至りましたが、委員もそれぞれの立場があり想いや考えもバラバラではあるはずので、今後はある程度テーマを絞って委員同士の意見交換もした方が相互の理解にもつながり、より地域としての提言に厚みができるのではないかとも思います。
旧干潟町の小学校3校は、3校ともに土砂災害警戒区域にかかる小学校であり、安全面を比較して、全域が区域にかかってしまう2校よりも体育館裏の一部分だけが区域にかかる1校を統合先にする方針となっています。
それらも踏まえて、
一部分でも土砂災害警戒区域にかかるのは今後増えてくる気象災害に十分対応できるのか。
上記の理由から統合小学校が地域の一番西側に寄ってしまうことになるので東側に住む子供たちや長期的にみてその地域にとってどのくらい影響が出るのか。(東側の地域人口が減る等)
そして大条件である統合校へ実際に通学する子供たちの毎日の安心と安全をどうやって担保していけるか。
これらを市と住民とで今後対策・対応を考えていかなくてはいけない主な課題となりそうです。
地域検討会議はこれから1年かけて議論を重ねていくことになります。全員が100%納得することはおそらく難しいとは思いますが、何よりも学校に通う子どもたちが安心して教育を受けることができる環境となるように私からもできる限りの手助けをしていきたいと考えています。
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