早稲田大学競走部の新体制
早稲田大学競走部は昨年(2022年)2月に大前祐介君が監督に就任し、6月に私が駅伝監督となったことで現場の指導体制が一新しました。
一新したというと、すべてが変わったような印象を受けますが、前監督の礒繁雄先生(大学教員)が総監督に、前駅伝監督の相楽豊君(大学職員)がチーム戦略アドバイザーという形で私たち新任スタッフをサポートしてくれています。また、競走部OB会である早稲田アスレチック倶楽部も体制が代わり、その会長に瀬古利彦さんが就任されました。
『競走部の良い伝統を引き継ぎつつ、新しいアイデアも取り入れてチームを改革しよう!』
そんなムードが現場にもOB会にもあって、これまで以上に協力体制がしっかりできている点は大きな変化であったと感じます。
大前監督は私より11歳年下ですが、礒前監督のもとでコーチをやっていたこともあって、競走部全体のことをよく把握しています。企業人としての社会経験は豊富ですし、選手たちとは歳の離れた兄貴的な雰囲気もあって、私からすると非常に頼もしい存在です。
私は肩書きは駅伝監督ですが、競歩を含む長距離ブロックの選手たちを指導することが役目です。また、私は自宅がある群馬県高崎市から通っているため、週に何日かは選手たちが暮らす合宿所のコーチ室に寝泊まりしています。合宿所では、小島久雄さん夫妻が寮監として選手たちの食事や生活のサポートをしてくださっています。
私がコーチ室に泊まるようになってからは、小島さんと相談して合宿所内の環境や設備について改善する取り組みも始めました。そういう意味では私は副寮監的な役割もやらせてもらっています。
他大学では、学内で短距離と長距離がそれぞれ独立した別の部として活動しているところもありますが、早稲田大学は今も変わらず『競走部』という名の下で一つの部として活動しています。
短距離と長距離とではトレーニング内容はもちろん違いますし、生活リズムも違う点が多くあり、合宿所生活においても合わない点はいくつかあります。ただ、そういうことも時には話し合い、時には尊重し合って助け合うことは大切なことです。またそうした経験が社会に出て働くようになってから必ず生きてくるのではないかと、私もコーチという立場になってから強く感じるようになりました。
大前監督も同じ考えですので、チーム全体として動くことを基本としつつ、短距離、長距離が互いの活動を優先する必要がある場面では、それぞれで動くようにするなど工夫をしています。
そうした中でチームとしては大学陸上界のトップを目指し、個人としては学生のうちから世界に羽ばたくようなアスリートを育成しようと、良い意味で切磋琢磨して取り組んでいます。