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「前職」と「元職」 ー使い方の適否についてー

「友人とは政治と宗教の話はするな」という言葉は、日本においては忠言だと思う。しかし、アメリカ大統領選挙の様子を見ていると、本来の民主主義とはああいう風に、堂々と支持を表明できる社会なのではないか、とも思う。
(「野球」も加わることもあるらしい。確かにこれは至言。)

 閑話休題。

 というわけで、政治の話ではなく、選挙に関連して気になった言葉の話。

 知事選挙に立候補した候補者の名前に「元」という漢字があるので、「前知事」ではなく「元知事」としてSNSのハッシュタグを作成した。

 という記事を見て、まずそれは言葉の意味として適切なのか、と疑問に思った。

 立候補者の中に「元職」の候補者がいる場合もあるわけで、区別の意味でも「前職」と表記するのが適切ではないのか。それを名前に絡めてあえて「元職」とする、というのはありなのか?

 選挙の場においての「前職」は直近の在職者、「元職」は前職より前にその職に就いたことがある者、と認識していたけれど、「前職」である人を「元職」と呼んでも(言葉の意味として)いいのかどうか、わからなかった。

 例えば、転職した時に前の職場を「前職」と呼ぶ。二度三度と転職して、「前職」が複数あったとしても、それらを「元職」と呼ぶことはないと思う。
 役職に就いていた人が、その職を辞した場合は、「元○○」と表記される。「元職」である人が複数存在し、唯一ではないからだ。また、その役職自体がなくなった場合にも「元職」の表記になる。
 「元教授」や「元大蔵大臣」は存在するけれど、「前教授」、「前大蔵大臣」とは表記しない。

 しかし、国会議員や地方公共団体の議会議員選挙の場合は、「前職」が複数人存在する。これも、一つの選挙区でみるなら「前職」はひとりしかいないから、ということになるのだろうか。

 いろいろと検索してみた結果、わかったことは。
「前職」とは「元職」の中で一番新しい人であるから、「前職」も「元職」に含まれる。

 つまり、「前職」の候補者を「元職」と呼んでも差し支えないということである。

 あいまいな言葉の使い方が、ひとつわかったのでよかったのだが、今回の件についての個人的な感想を言えば、「それほど印象が変わることは、ないんじゃないかな」である。

 


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hanaco_nagai
これまでに、頭の中に浮かんでいたさまざまなテーマを文字に起こしていきます。お心にとまることがあれば幸いです。