作品には物語がある【ループの書】
2121年4月19日
根津にある108年続くホテルがある。
このホテルでは、毎年アートイベントが行われ、今年記念すべき100回目を迎える。
これはめでたい!
この記念に相応しい展示を。と、
アートイベント初回である2021年4月17日-18日当時に展示された『輪』をこの記念に展示をする事になった。
100回記念の『輪』展示はとんとん拍子で決まる。
さてさて、
そこで、『輪』の作者・本田英之氏の孫である本田霧幻氏に頼み込む事になる。
霧幻氏は快く承諾したが…。
1つだけ展示に関してどうしても展示当日ギリギリまで誰にも『輪』を見せないと言う。
イベント側としては、展示前に一度見ておきたいと思っていたが、展示が叶うなら致し方無い。
霧幻はその時、
やっとこの時が来た。と喜びを感じた。
書作品『輪』の右下裏には『2021.4.15に届けろ 英之』と祖父からのメッセージがあり、霧幻は小さい時から祖父にいつも言われていた。
『2121年の然る時に、根津にあるホテルで開催する100回記念イベントで『輪』を特別展示する事になる。だが、 100年という時間は和紙を痛め、2121年の『輪』は見るも無惨なシミだらけ。その時、可愛い我が孫は、祖父の名誉の為に綺麗な状態の【輪】を展示したいと思う。私は、祖父孝行の孫に2021年で綺麗な状態の【輪】をパネルに張り込み待ってる。100回記念のイベント前日に私の元に取りに来い。【ロンドン19時47分】に時空を越えろ。その時、『輪』が2つあるのはおかしな事になるからシミだらけの『輪』は記念におじいちゃんにお土産で持って来ておくれ。』
小さな頃の霧幻はおとぎ話のようなものかと思っていたが、8年前にホテルがアートイベント初回当時の建物に復元する事になって、その建物を見た瞬間鳥肌たった。
これはおとぎ話なんかてはなく、実際に起こる事で、私がしなくては歴史が変わるかもしれない重要な使命だと気付く。
これは、祖父の名誉を誇らしく感じて鼻が高いと喜ぶ孫の話として語られているが、、違う。
これは、綺麗な『輪』を取りに行く事が大切な事ではなく、シミだらけの『輪』を届けに行く事が一番重要な事。
祖父は、シミだらけになった『輪』を『ループの書』とタイトルを変え展示した。
このシミだらけの『輪』は意味のあるシミだらけだった。
100年越しに印が押されて。
これで本当の意味での『輪』が完成した。
HOTELGRAPHY NEZU
8th ANNIVERSARY
『輪-feel Artgraph』
展示作品『ループの書』の話
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