#小説
自己をコントロールする方法は、知っておいたほうが良い。
ある日、私は機嫌が悪かった。起きたら家に知らない人がいた。電気工事士とでもいうのだろうか、二人の男性だ。そんな人が来るなど、聞いていなかった。
悪いことに、同居人は全員出払うという。年頃の娘を知らない男たちと残すことに、躊躇してほしかった。
気分だか機嫌だか知らないが、とにかく調子が悪かった。寝起きのスエット姿で憮然としていた。髪もぼさぼさだっただろう。勿論、化粧なんてしているわけもない。
オリジナル作品「青春の決意」
春爛漫。そんな言葉がよく似合う。桜の花びらが舞う正門。新しい制服を着た生徒たちがたくさんいる。
加藤愛は、中学入学のタイミングで丁度、引っ越してきた。知らぬ者たちばかりの入学式。これを機に、自分の嫌なことはしない、そう決めてきた。陰口などは、最も嫌いな行為だ。絶対にしてやるものか。
「明日から早速授業だから。忘れ物無いようにねー」
担任の間延びした声を聞きながら、立ち上がる。もうすでに