肛門の皮膚の弛み(肛門皮垂)
痔が気になると言って受診される方の中には、いわゆるいぼ痔がほとんど目立たず、肛門のところの皮膚が伸びている人がいる。この皮膚のたるみがあると、おしりを拭く時にその伸びた皮膚をできもののように感じることがあるようだ。また、皮垂の形や大きさによると、洗浄の邪魔になるためか十分洗い流せずに、下着が汚れるとの訴えをされる方もいる。また皮膚炎をおこしてかゆみなどを訴えることもある。肛門皮垂は外痔核の名残である場合が多く、その場合は内痔核も存在していたと思われます。
症状がなければ放置して構わないものですが、日常生活に影響が出てご本人が治療を望む場合は皮垂を切除することになります。局所麻酔で切除することもありますが、内痔核の併存があるようなときは同時にその治療も行うようにお勧めしています。そういう時は多くの場合、肛門皮垂切除+硬化療法だけでよいので、手術翌日には退院です。日帰りを希望される場合は、局所麻酔で行うこともありますが、人によるとそれでは十分中のほうが観察できません。半身麻酔か硬膜外麻酔で行うほうが確実です。
また肛門皮垂に直腸粘膜脱を伴っていることがあります。これは肛門周囲の支持組織の弱ったところができて、本来なら肛門括約筋の頭側にある直腸粘膜と皮膚との境界線が括約筋の外に落ちてきている状態です。この場合は皮垂切除の切除ラインを少し奥まで進め、粘膜を肛門の奥に引き込むように縫い付けてあげます。
当然のことながら、肛門の状態は一人一人違います。その方に合った治療方法を選択しつつ、なるべく負担のかからないように行うのが良いと思います。
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