鑑真さん
学校の歴史の時間に、ほとんどの日本人がその名前を聞いたことのあるお坊さん、鑑真さん。当時の日本には、あなたはちゃんとしたお坊さんですと保証を与えることのできる人がいなかったそうで、その戒を授ける伝戒の師として日本に来ていただくように742年の遣唐使が依頼したとのこと。それに対して、来日を決意してくれた鑑真さんですが、742年からはじまった渡航の試みは5回も失敗してしまいました。それにも関わらず、日本へ渡る志を失わずに、753年の6回目の渡航で、ようやく日本に辿り着きました。
鑑真さんは、戒を授ける戒壇院をつくったことと、唐招提寺建立を行ったことが有名ですが、日本文化に大きな影響を与えた方です。
仏教の経典をたくさん日本にもたらし、仏教の教義や戒律を伝えてくれました。仏像彫刻の技術をもたらし仏教美術に大きな影響を与えました。建築技術を伝えてくれました。他にも大陸の先進的な技術や知識を多くもたらしてくれました。そんな中、中国の医学に関するものも多く持ち込んでくれたのです。薬草学といった学問だけでなく実際に多くの薬草やお香に使われる植物なども、運び込んでくれたのです。
唐招提寺には鑑真ゆかりの薬草園というのがあるそうです。1988年、鑑真生誕1300年を記念して作られたとの事ですが、唐招提寺の金堂の修理のために薬草園のある場所に仏像の一次的な安置場所として建造物作ったために1999年に閉園されました。しかし、現在2024年頃の再開園を目指して復興を進めているそうです。薬草のゾーン、蓮のゾーン、そしてお茶にまつわる植物のゾーンと3つのゾーンから構成される薬草園が出来上がる予定とのことです。現在その一部を公開しているとニュースに出ていましたが、どのような植物たちが栽培されているのでしょうか。実際に鑑真がもたらしてくれた薬草などが植えられているのでしょうね。全体が開園されればぜひいちどは訪れてみたいものだと思っています。
当時日本にもたらされた医学が、その後少しずつ日本人に合ったものに修正され、現在の日本の伝統医学である漢方となりました。海を渡ることが命がけであった時代に、よくぞ日本にやってきてくださいましたね。本当にありがたいことです。
医療用漢方薬として現在認可されている処方は、長い歴史の中を生き残ってきたお薬です。効果は歴史が証明しているとも言えます。西洋医学を補完する医療として、うまく取り入れていきたいですね。