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仁義(参耆)?なき戦い

 日本で保険収載されている漢方薬エキス剤の半数以上は、1800年くらい前の中国ですでに成立していた処方です。いつも思いますが、すごい歴史ですよね。組み合わせる生薬の種類やその割合などが、そんな昔から脈々とつたわってきていることには驚かされます。

 そのころ、疲れた心身に元気をつけてくれる薬として利用されていたのは、建中湯(けんちゅうとう)類と言われています。体の中、消化管の調子を建て直すお薬を意味しています。、エネルギー源をとりこむために大切な、消化管の調子を良くすることによって、元気を取り戻すと考えたのでしょうか。

 そんな建中湯類の中で、私が好きなのは小建中湯。子供の体質改善などに使われるとされますが、大人でも使います。実際、お腹の調子を整えるために飲んでいただいていると、元気が出てきたと言われることが多いです。

 ただ、元気づけに現在一番よく利用されるのは、補中益気湯です。これは、中国の金、元の時代に出てきた処方とされています。薬用人参と黄耆が含まれており、参耆剤と呼ばれます。疲れが取れない、すぐ眠たくなる、やる気が出ないなどというときに使われます。

 参耆剤には、十全大補湯、人参養栄湯、清暑益気湯などもあります。いずれも元気をつける意味合いを持った処方です。大病の後の倦怠感などには補中益気湯や十全大補湯などが使われますから、コロナ後遺症の方にも使えるのではないかと思っています。

 暑い夏の時期、体が熱くなり喉が渇きフラフラするなどというときには清暑益気湯。夏が過ぎても倦怠感がとれないというような夏バテ症状の時には補中益気湯をまず試してみるのがお勧めです。疲れが取れない方に、じんぎ(参耆)なき戦いを強いるのはいけませんね。

 西洋薬には、元気づけるといったような効能のお薬はありませんが、漢方薬にはたくさんあります。なんだかやる気が出ない、という時には自分にあった漢方薬を探してみるのも良いと思いますよ。

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