一人暮らしで体調を崩す心細さ
一人暮らしの日常は、多くの時間を自分自身のために使える自由があり、日々の小さな達成感や発見がある。思ったようにことを進めることができるのも快適だ。しかし一方で体が思うように動かなくなってきたり、体調を崩したりした時と言うのは、何かあったときにどうしようかと言う不安や孤独感が強くなると言う面もある。やはり慣れ親しんだ連れ合いがいると言うのは安心だし、心の中に寒風が吹いたりすることもないと言う良さがある。
先週、私は軽い咳と喉の痛みに見舞われた。仕事の忙しさもあり、なかなか病院にも行けずにいたが、週末に自宅へ戻ると、なんとも言えない安心感を覚えた。
普段私は日に一回ほど何らかの漢方薬を飲み体調をコントロールするようにしている。今回は熱は出ないけど、喉の痛みが強いので少し気合を入れて漢方薬を服用した
ベースとして服用したのは、小柴胡湯加桔梗石膏と葛根湯を一緒に服用すると言うやり方である。これはこれは柴葛解肌湯(さいかつげきとう)と言う処方の近似処方に当たり、むかしスペイン風邪が流行した時代にも活躍した処方の1つである。もちろんここ数年続いたコロナ感染症に対しても有効であったと言う報告がある。これらをお湯に溶かして少し冷ました後に、スプーンで少しずつ喉の痛いところに当たるように飲み込んでいくと、喉の痛みが楽になるのがよくわかった。これをベースとして1日3回服用し、さらに体力をつけるために補中益気湯、水分代謝を良くする五苓散、喉の乾燥を防ぐ麦門冬湯なども時折服用するとともに、喉の痛みが強くなるときには合間には桔梗湯も取り入れた。これらのおかげで、症状が重くならず、早く回復したと言う実感があった。
漢方薬には即効性がないと言われることが多いが、もともとは急性熱性疾患に対応するように組み上げられた処方が多い漢方薬である。ウィルス性感染症などで何らかの症状がある時、素早く利用すればかなり即効性があると私は思っている。
なお、この期間中に、熱はちっとも上がらないのだが、とにかく寒気が強いと言う時があった。その時麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)服用すると、寒気がずいぶん楽になるというのも実感できた。
明治から昭和の初期にかけての日本においては、漢方薬がもっと日常に近いところにあったように思われる。今後、就労年齢層の減少や、保険制度の見直し等によって、高齢者はこれまでより病院にかかりにくくなっていく可能性がある。そんな中、日常のちょっとした不調に使える漢方薬を、それも自分に合った漢方薬を普段から身近に置いておくというのは大切なことだと思っている。
時折、漢方薬を保険収載から外そうとする動きが出てくるが、厚労省が進めようとする地域包括ケアシステムの構築とともに、漢方薬のうまい利用と言うのも、医療費削減には寄与するものと私は思っている。
それにしても、久しぶりに体調を崩してなかなかしんどい思いをした。これまで以上に体調管理に気をつけようと思った次第。皆さんも御身大切にお過ごし下さい。
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